クラリネットを公園で演奏する大きなメリット
クラリネット上達のためには、当然練習が不可欠です。
しかし、「家では吹けないんだよー」という方が多いのが実情ですよね。
東京クラリネット教室の体験レッスンにいらした方にも、よく「通われている皆さんはどこで練習されてるんですか?」と質問されます。
併せて、「公園などで吹いてもいいのでしょうか?」と聞かれることも多いので、今回は特にその部分に注目して、練習場所について考えていきましょう。
クラリネットの練習場所
家で吹けるのが一番自由度が高い(思った時に吹ける)わけですが、ご近所のことがあったり、賃貸で音出し禁止だったり、いろいろ制約がありますよね。
そのような場合、考えられる練習場所は、以下の通りです。
音楽スタジオ
環境としては、やはり音楽スタジオが一番です。
まれに例外はありますが、防音もしっかりしていますし、譜面台やメトロノームも借りられ、部屋によっては鏡があることもあります。
デメリットとしては、「音楽を演奏するための専用空間」であるため、利用料が張る、ということです。
また、部屋のスタート時間が「00分」「30分」など、切りのいい時間に決まっているところが多く、「ふらっと行って練習を始める」「疲れたら切り上げて帰る」というのが難しくなっています。
カラオケボックス
カラオケボックスは、スタジオ練習のデメリットがクリアできます。
防音に若干不安はありますが、時間帯や曜日によってはリーズナブルに借りられ、好きな時間に行って、好きな時間に終わらせることができますし、疲れたら気分転換に歌うこともできます。
また、練習している曲によっては、カラオケに入っていることもあるので、伴奏を流しながら演奏、なんてことも可能です。
公園などの屋外
公園などの屋外での演奏は、まず第一にコストがかかりません。
天候に左右されてしまう部分は大きいですが、天気が良い日に外で演奏するのは気持ち良いものです。
また、公園での練習ならではのメリットもありますので、もう少し具体的に見ていきましょう。
クラリネットを公園で演奏する大きなメリット
公園での演奏には、スタジオやカラオケボックスでの練習では得られないことがあります。
観客がいる
「観客がいる」と言っても、ストリートミュージシャンのように、自分を囲んでいる人に向かって、演奏することを指しているわけではありません。
「人の耳がある」という方が、わかりやすいでしょうか。
聞くとはなしに聞いている人がいる、というだけでも、良い刺激になり、「人前での演奏は緊張して震えてしまう」という人も、小さな音から始めていけば、だんだんと、周囲に人がいても堂々と吹くことができるようになっていきます。
ただし、人がいるからといって、見栄を張るのはよくありません。
以前、私が新宿の中央公園を歩いていた時に、トランペットを練習している方がいました。
「あー、ロングトーンしてるなー」くらいに思いながら歩いていたのですが、私が前を通る時に、その人はすごく速いパッセージをピロピロピロ~と吹き、通り過ぎて少ししてから、またロングトーンに戻ったのです。
「わっ!この人すごい!!」と思われたかったのかなんなのかわかりませんが、音はぷしゅぷしゅして、正直全然すごくありませんでしたし、むしろ「調子を崩すのでは…」と心配になったくらいです。
例えば「今やってる曲を、動揺せずに吹いてみたい」と試すのは良いことですが、見栄張りは禁物ですよ。
反響がない状態で練習できる
響く場所での演奏は気持ちがいいですね。
しかし、自分の素の音というのは、響く場所ではわかりません。
屋外であれば、当然「音の返り」がありませんので、自分の音と向き合うことができ、ごまかして吹いていたところなどがはっきり聞こえます。
注意せねばならないのは、「普段自分がどれくらいの音量で吹いているかを、無意識に音の返りで測っている」という点です。
狭い部屋であったり、よく響く空間で自分が吹いた音というのは、当然大きく聞こえます。
その聞こえ方を「通常の音量」と無意識に認識していると、環境が変わって音が返ってこない時に「私はいつもより楽をして、小さく吹いている」と思い込んでしまうことがあるのです。
もちろん実際はそんなことはないのですが、普段から自分の音をきちんと聞こうとしている人の方が、その傾向が強く出て、「いつもの音量で吹かねば!」と力んでしまったり、余分に息を使う結果になり、音が汚くなったり、すぐに疲れてしまったりすることにつながります。
外で演奏する時は特に、自分が音を出している時の、体の状態に注意を払うようにしましょう。
これは、マーチングなどで屋外で吹く時や、お仕事の依頼などで外で演奏することになった時にも、役に立ちます。
公園で練習する時の注意点
お金がかからなかったり、人前で吹く経験ができたりと、公園での練習はメリットがある反面、注意すべき点もありますので、しっかり心しておきましょう。
楽器演奏可か
練習したい公園が、楽器の音出しが禁止されていないか、きちんと調べてから練習するようにしましょう。
また、「禁止」と明示されていなくても、住宅街の小さな公園などだと近所迷惑になってしまいますので、やめておいた方がいいですね。
広々とした、楽器演奏が許されている公園で練習するようにしましょう。
極端な天候は大敵
すごく暑かったり寒かったり、湿度がやたら高かったり低かったり、人間が心地よく過ごせない環境は、楽器にとっても良くありません。
特にクラリネットは、管体が木でできているだけではなく、パッドに紙やフェルト、革などが使われていますので、温度や湿度の影響を思いきり受けてしまいます。
「どうしても練習したい!」と思っていても、楽器のことを考えて、真夏や真冬は外での練習はぐっと我慢しましょう。
直射日光を避ける
「ぽかぽかのお日様に当たりながら、いい気分で楽器を吹く」というのは、実に気持ち良さそうなシチュエーションですが、木でできたクラリネットにとっては、直射日光は絶対に避けるべきものです。
特に強い日差しは、管体の変色や割れにつながりますので、公園で練習する時は、日陰で行うようにしましょう。
練習場所として公園を有意義に使おう
公園での練習は、スタジオやカラオケボックスなどでは味わえない体験ができます。
「度胸をつけたいな」と思っている方は、樹脂製のクラリネットや年季の入った廉価な中古楽器などを手に入れて、公園など屋外で吹くことをたまにやってみるといいですね。
当然、リードを選んだり、音色にこだわった練習をすることは、外では難しいので、うまく練習場所を使い分けて、どんどん上達していきましょう。