クラリネットがうまくなるロングトーンのやり方
まだまだ以前の通りとはいかないものの、練習を再開した楽団や部活も増えてきましたね。
東京クラリネット教室の生徒さん達からも、「お客さんを入れないで演奏会をやった」「今度ミニコンサートをやる」などのお話を伺うようになってきました。
とはいえ、合奏の時間は圧倒的に減っているので、「今のうちに基礎をしっかり固めたい!」という声も多く聞きます。
基礎練習にもいろいろありますが、今回はやはり全ての基礎であるロングトーンについて再度考えて、「クラリネット、うまくなったかも」と自分で感じられるようにしていきましょう。
ロングトーンの必要性
今までにもお伝えしてきましたが、クラリネットにおいて(もちろん全ての管楽器において)、ロングトーンは避けて通ることのできない練習です。
楽器の持ち方から始まり、くわえ方や音の出し方など、数ある基礎練習の中でも、最も基礎ですので、丁寧にやることで、確実な「クラリネット演奏力」を身につけることができます。
しかし一方、なんとなくやろうと思えば、いくらでもなんとなくできてしまう練習なので、効果を感じることができず、重要性に気づかないままやり過ごしている方が多いのも事実でしょう。
クラリネットがうまくなるロングトーンのやり方
そこで今回は、どういう点に気をつけて練習することで、よりロングトーンの効果が出て、基礎力が向上するかを改めて考えていきましょう。
準備
まず、クラリネットを吹く上での準備にあたる部分を、しっかり固めましょう。
- 姿勢・座り方(立ち方)
- 楽器の持ち方
- アンブシュア(口のくわえ方)
- ブレス
この4点は、自己流で強いくせがあっても、それなりにクラリネットを演奏できてしまうのが、恐ろしいところ。
しかし自己流では、求められるものが難しくなってきた時に、どうしても先に進むことが大変になってきます。
「正しい」とされているものに関しては、「無理がない」「楽に演奏できる」など、正しい理由があります。
テレビや演奏会などで、プロのプレーヤーの演奏を見た時に、「わ~、くせのある吹き方をしてるな~」という方は、クラリネット奏者の場合ほぼいないですよね。
音を出す前の段階を置き去りにして、上達はありません。
上記の4点を、鏡などできちんとチェックしてから、いざ音を出しましょう。
音の吹き出し
ではここからは、実際の奏法です。
準備ができたら、たっぷりと息を吸って吹き出しますが、音の出だしは演奏全体の印象を決定づけますので、丁寧に出る必要があります。
しかし、「丁寧」を勘違いして、そっと吹き出すことをしてはいけません。
息のスピードが遅いと、音の立ち上がりが遅れて聞こえたり、音程が下がってしまったりしますので、スピード感のあるブレスをして、思いきって息を入れる必要があります。
強くなりすぎず、伸ばしている時と同じ太さの音で最初から鳴らすというのは、実に難しいのですが、演奏の第一印象を決める部分ですので、何気なく吹き出すことが決してないようにしましょう。
音の伸ばし方
音を伸ばす際は、「無理なくまっすぐ」が大切です。
息を絞り出していないか、揺れたりしていないかなどに気を配って伸ばしましょう。
曲の中で細かい音が並んでいても、スタッカートが求められていても、クラリネット演奏の際はいつでも「無理なくまっすぐ」の息で吹かなければなりません。
また、「太くて豊かな音」をロングトーンで意識して鳴らすことで、曲中の音量の幅を表現できるようになります。
普段小さい音で吹いていて、曲で音量を上げようとすると、どうしても力が入ってしまいますので、基礎練習ではいつでもたっぷり息を入れることを習慣づけましょう。
音の切り方
音の出だしに気を配り、太くまっすぐ伸ばせていても、音の終わりが雑になってしまっては、全てが台無しになってしまいますので、音の切り方も大切な要素です。
特に、曲の中では、素早くブレスをする必要が多くあり、ブレスの前の音の切り方まで気が回っていない吹き方になっている演奏を耳にすることがよくあります。
ロングトーンのように、次の音を鳴らすまでの余裕がある時に、いかに美しく音を終わらせるかをしっかり意識しましょう。
息を弱くしたり、口の中に残っている息を吹き込んでしまったり、まだ息を出しているのに口の形や力加減を変えることをしてはいけません。
音の吹き出し、伸ばしている間から切る瞬間まで、ずっと同じ口・同じ息を維持しましょう。
クラリネット演奏力向上のために
何事もそうですが、無意識に行う場合と、意識して丁寧に行う場合では、結果に大きな開きが出てきます。
筋トレでも、どの筋肉を鍛えているか気にしながらやると、数倍の効果があると言いますよね。
ロングトーンでできないことは、曲でもできないということを常に頭に置いて、惰性で行うことは決してせず、クラリネット上達の足掛かりとして、質の高いロングトーンを行いましょう。
また、今回お伝えしたことがきちんとできているかを、必ず耳でチェックしながら練習する、ということも大切です。
きちんとやればやっただけ、自身で「うまくなったかも!」と感じられますよ。