クラリネット中古楽器購入のメリット
未経験から始めた、部活では学校の備品を使っている(使っていた)などで、「自分のクラリネットが欲しいなー」という方は多いと思いますが、いくらクラリネットが安い楽器だと言っても10万円以上はするので、なかなか手を出すのに勇気がいりますね。
そこで、1つの選択肢になるのが中古のクラリネット。
とはいえ、あまり中古楽器にいいイメージがない方も多いのではないでしょうか。
正直私もそうでしたが、中古楽器ならではのメリットというのもありますので、今後楽器購入をする際の参考になさっていただけたらと思います。
「使い古し」のイメージは捨てよう
「中古」という言葉の響きが「使い古し」というイメージにつながったり、部活で演奏している方だと、学校のぼろぼろなクラリネットが浮かんだりするかもしれません。
また、木管フルートや、ヴァイオリンなどの弦楽器と違って、「古いものが『ヴィンテージ』としてもてはやされる」ということは、クラリネットではほぼありません。
しかし、ちゃんとしたお店で売っている中古のクラリネットというのは、びっくりするくらいきれいで、良い状態のものばかりです。
ちょっと大げさかもしれませんが、「新品です」と言われて出されたら、もしかしたら気づかないかも…というレベルです。
ですので「中古=使い古し」と考えるのは、実はとってももったいないのです。
クラリネット中古楽器購入のメリット
では、もう少し具体的に、中古クラリネットの良い点を見ていきましょう。
慣らしの必要がない
新しいクラリネットは、呼気による湿度に徐々に慣らしていかないといけませんので、購入して1か月間は30分以上吹けませんし、約5分ごとのこまめな掃除が必要となります。
また、最初の冬は、特に気をつけて割れを防がねばなりませんが、中古楽器の場合は、すでにその慣らしがされた状態ですので、購入してすぐでも30分以上の演奏が可能です。
とはいえ、きれいな楽器であればなおさら、あまり前の持ち主が吹き込んでいない可能性もありますので、「何も気にしなくていい」というわけではありません。
「新品よりも、神経質になる必要がない」くらいの捉え方でしかありませんが、それでもやはり、1か月間の制限がないことは、クラリネット購入時の懸念事項が一つ緩和されるでしょう。
安い
楽器の価格の「安い」は、世間的には決して安い金額ではないのですが、それでも、新品のクラリネットと比べて、中古だと半額以下で同じランクの楽器を手にすることができたりします。
ただ、気をつけなければいけないのは、新しい楽器と同じで、中古も値段と状態が比例する場合が多々あります。
「安くてラッキー!」と飛びつくと、「それなり」な楽器の時もありますので、注意して下さい。
今は製造していない機種が手に入る
中古ですので、今は製造・販売していない機種を手に入れることができます。
これは、中古楽器を購入する、一番のメリットかもしれません。
たまたま最近、行きつけのザ・クラリネットショップに、ヤマハクラリネットの旧モデル・YCL651の在庫があり、試奏をさせていただいたところ、響きが豊かで反応も良く、とても吹きやすい楽器でした。
店長さんのお話だと、ヤマハのYCL33・35・651などは、高い品質を持つ型番だった、とのこと。
これらの機種は、今は製造がなくなってしまったため、新品で手に入れることは叶いませんが、中古クラリネットを購入時の選択肢に入れれば、選べる楽器の幅が広がります。
中古楽器購入時の注意点
中古楽器は、新品のクラリネットを買うよりも安価なので、どうしても購入のハードルが下がりがちです。
しかし、中古でも新品でも、「楽器を買う」ということに変わりはありませんので、安易な気持ちで購入に踏み切ることはやめましょう。
例えば、最近はフリマサイトやネットオークションが身近にあり、インターネット上での個人間でのやりとりに対する抵抗というのは、ない方が増えてきているかと思います。
ただ、やはりそういう場で売っている楽器は、当たり外れが多くありますので、そこを覚悟して購入しましょう。
「調整済み」と書かれていても、通常の演奏に耐えられない状態のもので、結局オーバーホールに出すことになり、購入金額以上のお金がかかった、という話も聞きます。
安いものには安い理由があります。
そもそも、試奏をせずに楽器を購入すること自体をお勧めしませんので、どうしてもインターネットで買いたい、という場合も「試奏可」であること、試奏ができる距離の売り主から購入するようにした方が良いですね。
やはりお勧めの購入先は楽器店
何事もそうですが、やはり専門のお店の強みというものがありますので、中古楽器を買う際も、古物商の免許を持っている信頼できる楽器店を利用するのが良いと思います。
プロの目で査定され、適正な金額で販売されていますし、調整・オーバーホールなどを済ませ、すぐに演奏できる状態で売られています。
なお、今の中古市場は、在庫が豊富にあり、普段はなかなかできない試奏・吹き比べが可能だそうです。
予算で選ぶも良し、好きな型番に絞って選ぶも良し、わからなければお店の方に相談したり、東京クラリネット教室にご連絡いただければ、きっとお気に入りのクラリネットを手にできるはずです。
写真のエーラー式クラリネット(ドイツ管)も、ザ・クラリネットショップでお勧めされた掘り出し物です。
ちなみに、中古楽器のことでよく耳にする「前の人のくせがついていて、吹きにくいことがある」というのは、リペアのプロから言わせると「きちんと調整がなされてないだけ」とのことですので、その点も専門店で買えば心配ない、ということになります。
「中古クラリネットなんて嫌!」と頑なにならず、「1つの選択肢」として考えることで、運命の出会いがあるかもしれません。
皆さんが、お気に入りの楽器と出会えることを念じています。