第6回音高・音大受験の実技模試
2020年1月12日(日)、東京クラリネット教室「第6回音高・音大受験の実技模擬試験」が開催されました。
音高・音大受験において、実技試験というのはかなりのウエイトを占めますが、多くの受験生はどんな場なのか想像もつかぬまま、入試に突入しているのが現状です。
そこで、受験により近いシチュエーションの体験と、そのような場で自分がどのような状態になるのかを知り、本番でより力を発揮するために今後どうするべきなのかを、各々が体感していただけるように、細かいところまで考えられているのが、この実技模試です。
受験では、知らない場所・知らない人の前で本来の力を発揮することが求められますので、一度でも多く似た環境に身を置き、入試までに経験を積んでおくことが大切です。
本日の試験官は、前回とはまた違うプロのトランペット奏者の方。
東京クラリネット教室の実技模試は、何回参加しても、教室関係者以外の試験官は毎回違う方ですし、部屋も異なりますので、「知らない場所・知らない人の前」が体験できるのです。
音出し時間の使い方
今回は、いつもよりも参加者が少なかったため、「長い持ち時間・待ち時間への対応」を体感していただきました。
今日の音出し時間は20分。
これは、昨年度の東京都立総合芸術高校音楽科(総芸)の入試を模したものです。
私の受験の経験から言うと、20分というのは長い方だと思います。
そして、ここをどう過ごすのかが、本番での実力発揮に大きく関わってきます。
ただひたすら音を出すべきなのか。
適度に休みながら吹くべきなのか。
何を吹くべきなのか。
この時間中に掃除はした方がいいのか。
自分に適したものを、想定しておきましょう。
前述の通り、20分は長い方ですので、「では5分だとしたら?」「10分は?」「15分なら?」と、それぞれの時間の想定と、その過ごし方を考えておくことも大切ですね。
音出しの時間というのは、得てして焦ってしまいやすいものです。
この時間を上手に使って本番に繋げられるよう、受験までに必ず一度は、音出し時間の使い方の練習をしておきましょう。
スケールはなんのために吹かされるのか
入試課題にスケールやアルペジオがある場合、それはもちろん意味があって設定されています。
その意味を、正しく理解していますか?
調を提示され、調号さえわかって、パラパラっと吹ければいいわけではないのです。
もちろん、それも当然大切です。
くじにせよ口頭にせよ、また譜面台に楽譜を置かれているにせよ、スケールの課題を伝えられ、「えっと、調号なんだっけ…」なんて思っていては、「何を勉強してきたんだ…期待できないな」と音を出す前からレッテルを貼られてしまい、その後の演奏に耳を傾けてもらうことは無理でしょう。
そこはクリアした上での話になりますが、では、何が見られているのかと言うと、
- 調性感
- 和音感
- 音楽的まとまり
など、音楽の基礎力があるかを総合的に判断されています。
ただ楽譜を追い、音を羅列しているだけなのか、その調を理解した上で吹いているのか、プロから見たら一目瞭然です。
「転ばずに吹く」などの、技術的問題も去ることながら、入試の場でスケールをやることの意味を理解しているかどうかを見られているのです。
ついつい曲に力を入れたくなる気持ちもわかりますが、スケールを聴いて、試験官のその後の期待値が大きく変化するのは事実です。
入試課題に優先順位を勝手につけず、どれも同じウエイトで練習しておくようにしましょう。
「良い緊張感」を持つ
先月から続けての参加者は、人前での演奏に少し慣れてきたようで、長い待ち時間でも「ゆったり過ごせました」との感想でした。
それは、良いことでもあり、少し悪いことでもあります。
今回の長い待ち時間は「緊張と闘う」「緊張感を保つ」ことを目的に設定しました。
「ゆったり」が「緊張感をなくす」ことに繋がることは、本番において、恐れるべきことです。
緊張感のない演奏は、ともすると「だらっとした演奏」「(良くない意味での)練習のような演奏」になってしまうからです。
また逆に、「緊張感を持つ」ことは「あがってしまってガチガチになる」と同義ではありません。
自分が練習してきたこと、自分の力が最大限発揮されるための緊張感というのはどのような状態なのか、1回でも多く人前での演奏を経験して、しっかり感覚を掴んでいただければ、入試での結果は望んだものとなるはずです。
来月9日(日)には、入試本番直前の実技模試「第7回音高・音大受験の実技模試」を行います。
本番さながらのリハーサルがいかに大切かを理解していただき、良い結果に繋げるため、ぜひご活用いただけたらと思います。
ご参加お待ちしています。