子どもたちを全力で笑顔にした保育園訪問演奏
9月のとある日、ご依頼をいただき、保育園に訪問演奏に行ってきました。
「30分くらいで、子供達が一緒に演奏できる曲も入れてもらって、あとは適当に。あ、短いクラシックも1曲入れて下さい」
というオーダーをいただきましたが、小さい子達にとって、30分というのはかなり長い時間。
クラリネット1本では、確実に飽きられてしまう…ということで、ちょうど夏期休暇で日本に帰国中だった、在ドイツのフルート奏者の友人に、お付き合いいただくことにしました。
演奏曲を決めよう
まずは選曲。
保育園で普段から歌っている曲なら、「じゃあ、みんなで歌ってねー」という時間にしなくても、思い思いに歌ってくれるかなと思ったのですが、お聞きしてみたところ「各クラスで別々の曲をやってるので、全員共通の曲は特にないですー」とのこと。
むむむ…
0歳児クラスで歌っている曲なら、上の子達も歌えるのではないかしら、と思ったりもしましたが、先生方もお忙しいし、せっかく委ねて下さっているのに、あまりしつこく聞くのも失礼かなと、全く今回の演奏に関係ない友人も巻き込んで、やいのやいのと選曲会議。
無事演奏曲目が決定しました!
プログラム
- 森のくまさん
- 小さな世界
- ミッキーマウスマーチ
- 大きな古時計
- 楽器紹介
- おもちゃのチャチャチャ(みんなで合奏!)
- 幸せなら手をたたこう
- 5つの簡単な二重奏より(モーツァルト)
- ドレミの歌
- さんぽ
楽譜を準備
曲が決まったら、楽譜の準備です。
クラリネット二重奏の楽譜や、友人が送ってくれた歌用の楽譜を、フルートとクラリネット用の楽譜に書き替えます。
「ん?二重奏の楽譜なのに、書き替えるの?」と思われるかもしれませんね。
なぜわざわざそんなことをするのかと言うと、理由が2つあります。
フルートとクラリネットの音域の違い
理由その1。
フルートとクラリネットでは、担当している音の高さが違います。
フルートは高い音が得意です。
一方、クラリネットは、フルートよりも少し下の音域を受け持つことが多く、また、低い音まで出すことができます。
ですので、その得意な音域に合わせて楽譜を書き替えた方が、お互いに良い部分が存分に出せる、というわけです。
この楽譜ではフルートが少し低めですが、こんな風に、「フルートは高い音担当」「クラリネットは低い音担当」と、持ち味を生かした楽譜にします。
フルートとクラリネットの『ド』の違い
理由その2。
フルートとクラリネットでは『ド』の音が違います。
「せーの!」でフルートとクラリネットが、自分達の『ド』の音を吹くと、見事にぶつかります。
ハモりもしません。
先程の楽譜を見ていただくと、上段のフルートの楽譜は、ト音記号の横に何も調号がついていませんが、下段クラリネットの楽譜には、♯が2つついています。
これは、それぞれの楽器の『ド』が違う、という証なのです。
ということで、クラリネット二重奏用の楽譜を、フルートとクラリネットでそのまま吹くと、とてもおもしろいことになってしまいますので、書き替えの必要があるのです。
2人でリハーサル
せっせと楽譜を書き替えて準備したら、いよいよ合わせです。
友人はプロオケ奏者。
皆で吹く上で音程はとても大切なので、ちょっとしたところにも、オーケストラで吹いている人ならではの技があり、とても勉強になりました。
どんな技かと言うと、一音一音、耳を使って音程をはめていきます。
どんな速い曲でも。
フルートは、楽器と口の当たり方の角度を変えると、音程が変わるので、それをパパパッと音ごとに調整していくのです。
彼女にとっては当たり前のことだと思うのですが、これにはすごい衝撃を受けました。
私ももちろん、耳を使ってないわけではないのですけどね。
調整の仕方の次元が違います。
合わせ後、スタジオのロビーで、「東京クラリネット教室のリスを発見!」だそうです。
いよいよ訪問演奏当日!
さて当日。
朝10時からとのご依頼でしたが、当日はしっかりした合わせもできないので、30分ほど前に伺いました。
軽く音出しをして、いざ本番です!
最初に伺っていた話だと、2~5歳児がお客さんとのことでしたが、0歳と1歳のクラスの子達も聴きにきてくれて、たくさんの子達の前での演奏になりました。
『森のくまさん』は、やはりみんな知っている曲なので、こちらから促すことなく、知っている子達は元気に
「ある~ひ~!」
その後も、先生方が率先して歌って下さって、みんな目がキラキラ。
ニコニコしながら、大きな声で歌ってくれて、こちらも楽器を吹きながら思わず笑顔に。
楽器を吹いていて、嬉しい瞬間ですね。
私達の楽器、知ってるかな?
せっかくなので、と楽器紹介も織り込んでみました。
フルートの紹介
まずはフルートの説明から。
「この楽器の名前知ってる人~」と質問したところ、年長さんと思われる男の子が「フルート!」。
知っている子がいてくれて、嬉しいです。
「フルートは、瓶をふ~っと吹いて音を鳴らすのと、同じように鳴らすんですよ」との説明に、興味深げな子供達。
きっと何人かは、おうちに帰ってから、瓶を吹いてみるんだろうな~。
クラリネットの紹介
お次はこちら。
我らがクラリネットです。
残念ながら、名前を知っている子はいませんでしたが、「リードがないと音が鳴らないこと」「低い音から高い音まで、たくさんの音が出せること」などを、実際に吹いてみながらお話すると、「わ~っ!」と歓声が。
この中から、未来のフルート奏者・クラリネット奏者が生まれるかもしれませんね!
一緒に演奏すると楽しいね
楽器紹介が終わったところで『おもちゃのチャチャチャ』です。
年長さんが、タンバリンを練習してくれていたとのことで、前に来てもらい、一緒に演奏しました。
みんな、とっても上手!
年中さんより下の子達も、大きな声で歌ってくれました。
『幸せなら手をたたこう』では、手拍子や、足をドンドン。
『ドレミの歌』も、元気よく歌ってくれて、あっという間に最後の曲。
『さんぽ』では、みんな立ち上がって、足踏みをしながらの大合唱となりました。
子供達もかなり楽しんでくれていたけれど、一番ノリノリだったのは、先生方だったかも!?
楽しんでくれてありがとう!
小さい子達の集中力は「年齢=分」だと聞いていたので(5歳なら5分)、計30分もの演奏は、飽きてしまうのではないかなと心配していましたが、全くそんなことはなく、みんな楽しく過ごしてくれて一安心。
さらには、「ありがとうございましたっ!」と、手作りのカードをいただいちゃいました。
思わぬプレゼントにびっくり&感動です。
こちらこそありがとうございました!
生演奏はいかがですか?
今回手伝ってくれた友人はドイツに戻ってしまったので、来年の夏まで一緒に演奏できませんが、今後もどんどんこのような機会があるといいなと思っています。
保育園や幼稚園、小学校などで、
「子供達に生演奏を聴かせたいな」
「ピアノやタンバリン以外にも、楽器はあるんだよって教えてあげたいな」
「クラリネットって何??どんな音?」
なんて時には、いつでも飛んでまいります!
このたびの訪問演奏でお世話になった全ての方に、感謝申し上げます。
素敵な機会をありがとうございました。
楽しかったです!