クラリネットで響きのある高音を出すためには
あっという間に6月が終わりますね。
東京クラリネット教室は、オンラインレッスンと並行して、今月からスタジオレッスンを再開しましたが、早1ヶ月が経とうとしています。
オンラインレッスンも、想像以上に違和感がなく、受講いただいた生徒さんには好評でしたが、とは言え、スタジオやカラオケ店などが閉まっていた期間、おうちで音が出せない方には、レッスンを受けていただくことができず、悩ましい日々を過ごしていました。
ですので、やはりスタジオでレッスンできるのは、とてもありがたいなぁと実感しています。
早く、アンサンブルや部活なども、気兼ねなくできる状況になるといいですね。
さて今回は、レッスンで生徒さんからよく相談される、高音の吹き方についてお話しようと思います。
音域が広いがゆえの悩み
クラリネットは、最低音の「ミ」からhigh B♭のさらに1オクターブ上の「ド」まで、約4オクターブ弱の音域を持つ楽器です。
音域ごとに音色が変わるのが、クラリネットの魅力ではありますが、その中でも音が上がっていくに従って、
「響きが変わってしまう」
「キンキンした音になってる気がする」
というお悩みを抱えている方は、教室の生徒さんも含め、とても多くいらっしゃるのが現状です。
些細なことで、響きのない薄い音になってしまうのですが、逆に言えば、ちょっとしたことに気をつければ、吹いていても聴いていても心地よい音が鳴る、ということ。
その「ちょっとしたポイント」をしっかり押さえて、どの音域も差のない演奏ができるようにしていきましょう。
やはり敵は「力」
中音域から高音域にかけて、響きがなかったり、キンキンしたきつい音になってしまう理由は、一言で言うと、「力」です。
高い音を吹く時に、特に力が入りやすいのは
- 口
- 息
- 指
の3点です。
そして、その3点に力が入る原因として大きいのが「高い音をしっかり鳴らそう」という意識です。
高音を出す時の意識を変えよう
吹いて音を出す楽器というのはいろいろとありますが、大抵の楽器は、音域によって息の量やスピードを変えて演奏します。
しかし、クラリネットは基本的に全ての音域を同じ息で吹く楽器です。
ところが「高い音は頑張らないと鳴らない」と、無意識に思い込んでいることが多く、「頑張る=力を入れる」という発想になり、力みが発生するのです。
まずは、クラリネットの高い音は、力んだらきちんと鳴らないと意識しましょう。
押さえている指で楽器を握り、口をぎゅっと締め、息を絞り出す。
無意識で、そんな力が入った状態になってしまうのであれば、意識的にコントロールすることが大切です。
息のスピードを上げるのに力はいらない
「高い音を出そうと頑張らないように意識したら、ちゃんと鳴らなくなったんだけど…」という方もいるかもしれません。
それは、音が鳴るための、充分な息のスピードがなくなってしまっていることを意味します。
中音域~高音域を、良い音程・良い音色で鳴らすには、息のスピードは必要です。
そして、息のスピードというのは、力を入れると下がります。
ところが、「力を入れると、息のスピードが上がる(ような気がする)」と思っている人が力を抜くと、「息がひよひよになっちゃって、全然入らない」ということになります。
そうすると、先程のように「力を抜いたら、高い音が鳴らない」→「やっぱり力を入れなきゃ駄目じゃん!」のループから抜け出せなくなり、「自分の吹いている高音は嫌い…吹きたくない…」に繋がってしまうのです。
「力を入れないと息のスピードは上がらない」は気のせいです。
息のスピードと力は、反比例します。
声で確認してみよう
大きな声が出せる環境であれば、息をたっぷり吸って、歌うでも叫ぶでもいいので、なるべく大声を出してみましょう。
力は入りましたか?
入ってないはずです。
では逆に、手をぎゅっと握りしめたり、お腹にぐっと力を入れて、声を出してみて下さい。
息が思うように出ないですよね。
楽器を吹く時も同じです。
息のスピードを上げるには
ただ、「息のスピードを上げる」と言っても、どうしたらいいのかわかりにくいですよね。
私もずっと「息が遅い!」と自分の先生から言われ、悩んでいました。
まずは、息をたくさん吸って、その息が体から勝手に出ていくイメージを持ちながら、なるべく大きな音を出そうとしてみて下さい。(もちろん力は入れませんよ!)
開放の「ソ」でも、その下の「ド」でも、鳴らしやすい音で構いません。
楽に大きな音が鳴らせたら、レジスターキーを使った音域の音で、同じように吹いてみましょう。
音域が変わっても、どこにも余分な力が入らず吹けたら、どんどん高い音に上がってみると、それまでに比べ、太く豊かな音が鳴るはずです。
その時は、とりあえず音程などは気にしなくて大丈夫。
のびのびと練習して下さい。
音域の区別をせずに吹けるようにしていこう
「苦手だな」「嫌だな」と思っていることに対して、身構えてしまうのは当然のこと。
身構えれば力も入るため、思うように音が出せなくなり、ますますマイナスの感情を抱いてしまいます。
また、「高い音は頑張るべき」との(無意識の)思い込みは、響きのない音を招き、そのマイナス感情に拍車をかけます。
余分な力が入らないように、ポジティブな考え方をして、どの音域も区別なく演奏できることを目指していきましょう。