アンサンブルの選曲をしてみよう
クラリネット四重奏を体験され、すっかりアンサンブルの楽しさにはまられた生徒さん。
今後は定期的にアンサンブルクラスに参加して下さることになり、今日は一緒に、次回のクラリネットアンサンブル用の選曲をしました。
しかし、選曲っていざやろうとすると、結構難しいですよね。
選曲を任されてしまった…!
部活で。一般バンドで。仲の良い友達と…
アンサンブルをやることになり、選曲をしなければならないシチュエーションは、意外に多いと思います。
そんな時、「どうやって選べばいいんだろう…」と、思わず遠い目をしてしまう人もいるのでは。
やり方は千差万別、当然正解などありませんが、私が一般バンドでパートリーダーをしていて、パート全員でクラリネットアンサンブルをやった時の選曲方法を、ここではお伝えしたいと思います。
選ぶ基準を作る
「好きな曲をやりたい!」「そういえば、吹きたい曲があった!」など、楽曲が先に浮かぶ場合があると思います。
また「たまたま聴いた曲がかっこよかった」「素敵な曲見つけちゃった」なんてことも。
好きなもの・やりたいものをやることは、やる気にも繋がりますし、もちろん演奏していても楽しいですし、いいことだらけです。
ただ、残念なことに、その曲が出版されていない…なんてこともあるのです。
そうなると、せっかくうきうきと楽器屋さんの楽譜売り場に足を運んだのに、楽譜は買えず、また新たに曲決めをしなければいけないことに、頭を悩ませながら帰路につく羽目になってしまいます。
やりたかったものもやれず、1から考え直しだなんて、できれば避けたいですよね。
そこで私は、「何を目的にやるか」「どんな編成でやるか」「どんな雰囲気の曲にするか」ということだけ考えておいて、具体的な曲は決めずにお店に行って、その場で楽譜をパラパラッと見て決めていました。
もちろん「おもしろそうだな」と思えることが一番大事で(はっきりわからなくても大丈夫です。自分の感覚を信じましょう)、その中から条件に合うものを絞っていく、といった感じです。
アンサンブルを通して得たいものを考えよう
当時、私がアンサンブルをやる上での目標としていたのは、「クラリネットパートの演奏力の底上げ」でした。
なにより、周りを聴いて合わせる力を育みたかったので、「簡単な曲をきちんと作り上げる」ことに重きを置いて、選曲をしていました。
一見、楽譜が簡単だと、合わせるのも楽なように思えますが、実はシンプルな分、粗が目立ちます。
しかし難しい曲と違って、楽譜を必死に追うようなこともないので、周りに気を配りながら、より「合わせること」に集中できるのです。
また、その頃のクラリネットパートは大所帯だったのですが、例えば「今回10人参加します」となっても、十重奏を選ぶようなことはしませんでした。
四重奏の楽譜を用意して、1st3人、2nd3人、3rd3人、バスクラ1人というように、吹奏楽のパート分けさながらの編成にし、まずは各パート内で合わせること、それがアンサンブルとしてまとまること、の2段構えにして臨んでいました。
効果は十二分にあり、アンサンブルで楽しみながら吹いて、好評価を得ただけではなく、合奏内でもクラリネットパートの存在感は増したのです。
自分達のやり方で大丈夫!
これらはあくまで私の体験談で、「そうするべき」という話ではありません。
「プレッシャーに弱いから、一人一人の音がはっきり聞こえるアンサンブルで、難しい曲に挑戦して堂々と吹けるようになる!」でも、「歌い込む曲をみんなで美しく吹こう」でもいいのです。
「とにかくメンバーが大好きな曲ばかりやる!」「楽譜を見た時の印象で決めよう」…これも充分立派な目的で、得られるものは必ずあります。
どんな内容でも構わないので、選曲前に何かテーマを決めてみましょう。
いきなり選曲を任されたら、とても不安だと思います。
でもそれはチャンスですので、自分自身のこと、一緒にやる人達のことをいろいろと考えたり、想像したりして、楽しみながら選曲してみて下さいね。