クラリネット演奏に大切な正しい腹式呼吸
部活で、レッスンで、しばしば聞く『腹式呼吸』。
クラリネットを始めとして、管楽器を吹くには不可欠なことですが、正しく理解していますか?
意外と、誤った認識が広まっているように感じるので、今回はわかっていそうでわかっていない『腹式呼吸』をしっかり理解していきましょう。
そもそも腹式呼吸って?
まずは言葉の意味としての『腹式呼吸』。
空気を吸い込むと、肺に入るのはもちろんですが、その際、肺の下にある横隔膜を上げ下げしているかで、呼吸の仕方は「胸式」と「腹式」に分かれます。
「胸式」ですと、横隔膜を動かすことはしないので、肺の伸縮に合わせて、胸が上下します。
通常、女性はこの呼吸法だと言われています。
一方「腹式」は、横隔膜を上下させるので、お腹が膨らんだりへこんだりします。
男性は、こちらの呼吸法です。
また、体を横たえている時(睡眠時など)は、全員腹式になります。
ちなみに、四足歩行でも腹式呼吸になりますので、犬や猫、その他動物も、腹式呼吸をしているそうです。
腹式呼吸が必要なワケ
そして、クラリネットを吹く時は、前述のように腹式呼吸を使います。
なぜ胸式呼吸ではいけないのでしょうか。
胸で吸ってしまうと、
- あまり量を吸い込むことができない
- 息が浅いため、体の重心が上に上がる
- 少ない息をやりくりするために、体や喉に力が入りやすい
など、楽器を吹くのには適さない体の状態になってしまいやすいのです。
ですので、深くたっぷり吸えて、体に余計な力が入らない、腹式呼吸で楽器を吹くと良いわけです。
お腹の使い方
部活などでクラリネットを吹いている時に、
「お腹で支えて!」
「お腹に力を入れて!」
と言われたことはありませんか?
これ、似てるようで、実は全然違います。
そして、残念ながら、片方は間違いなんです。
楽器を吹くとなると、体をどのように使っていいか、どのように息を出せばいいか、ついつい見失ってしまいがちですが、そんな時は歌を歌う時のことを思い出してみましょう。
お腹で支える
大きく、響く声で歌おうとしたら、たっぷり息を吸ってから、声を出しますね。
その時に、お腹はどうなっていますか。
息を吸って膨らんだお腹は、声を出すと同時にベコッとへこんだりしないはずです。
極端な話、次に息を吸う時までほぼ動かないのではないでしょうか。
これが「お腹で支える」です。
お腹に力を入れる
では、息をたくさん吸ってから、お腹に力を入れて、声を出してみましょう。
どうですか?
普段のように良い声が出ましたか?
普通に話すにしても、体に力を入れてしまうと、自然な息の流れが妨げられ、声に影響があるはずです。
したがって、「お腹に力を入れて!」は、不正解となります。
正しく理解して楽に楽器を吹こう
残念ながら、「お腹を使って吹く」を、誤って解釈している方は、数多くいます。
私も、「腹筋を鍛えるため」という名目で、座奏の時に、足を前に伸ばし、床から上げながら練習をしたこともありました。
本来足に落とすはずの重心を持ち上げているわけですから、上半身には相当の力が入っていたことと思います。
クラリネット演奏で求められる腹式呼吸の大きな目的の一つに、無理なく体に空気を入れ、無理なく楽器に吹き入れるということが挙げられます。
常にそれを念頭に、お腹の使い方を練習するようにしましょう。