自由に動く指を音階練習で手に入れよう!
最近入会された生徒さん。
「基礎をしっかり固めたい」とのことで、「スケールをやろうと思うのですが…」と相談されました。
スケールをやる意味は?
スケール(音階練習)は、ロングトーンが安定して吹けるようになった人が、次に取り入れるべき練習です。
スケールで気をつけることは
- どの音域もまんべんなく出せるか
- 指は均等に動かせるか
- なめらかに吹けるか
- まとまりを意識して吹けるか
- 様々なアーティキュレーションで吹けるか
など、多岐にわたります。
このように、いろいろな要素を含んだスケールを聞けば、基礎力がきちんと身についているか、とてもわかりやすいので、いろいろな音大の入試でも取り入れられています。
調号が増えるとともに難易度が上がる多くの教本
上記のように、とても大切な練習なので、スケールというのは、ただ音を並べて吹けばいいわけではありません。
今日の生徒さんは、ご自身で購入された教則本に、スケールが載っていたから、それをやろうと思っている…とお持ちになっていたので、その教則本を見せてもらいました。
私が中学生くらいの時に、先生から買うように言われた教則本もそうなのですが、一点とても不思議なことがあります。
それは、「♯や♭が増えるにつれ、スケールの難易度も上がっていく」こと。
今回の楽譜も、ハ長調(C-dur)は四分音符のスケールからあるのに、先に進めば進むほどいきなり十六分音符で書かれていたりします。
調号が増えると、当然音階自体の難易度があります。
なのに、急に細かい音符でやるように指示されているのは、いかがなものか…と思うのです。
(しかも写真のヘ長調、ドイツ音名が間違っていますね)
おすすめの楽譜
その点、国立音楽大学が出版している、ロルフ・アイヒラー著『Scales for Clarinet』は、全ての調が同じ内容で書かれています。
私の大学の入試では『Scales for Clarinet』の音列で、音階を吹くように指定されていたほど。
「スケールをきっちりやりたい!」という人にはおすすめです。
この練習が全てにつながる!
音階練習は奥が深く、思うように吹くのが難しいため、入試の前には何度も「なんでこんなことをやらないといけないんだ!」と思ったことがあります。
しかし何年か前に、『Scales for Clarinet』の著者であるアイヒラー氏の生演奏を聴く機会があり、全く無駄のない指運びに「音階はやっぱりきちんとやるべきなんだ…」と、実感させられました。
スケールは、音の羅列にしようと思えば、いくらでもできてしまう練習です。
しかし、それでは意味がありません。
しっかり目標を持って、有意義な音階練習をしましょう。