調によって変わる♯や♭に慣れて曲を吹きこなそう
アンサンブルに参加してくれている生徒のレッスンでした。
今アンサンブルでやっている曲は、調がバラバラ。
歌ものは、原調のままやっているので、やたら♯が多い曲があったり、かと思えば、クラリネットソロ用に書かれた楽譜で、♯1こで始まったのに、途中で♭3こに転調する曲があったりして…大混乱。
♯が多い曲はきちんと吹けるのに、その後何もついていない調の方がうまく吹けなかったり、なんとも不思議なものです。
これは、ある練習で、解決することができます。
万能な「ある練習」
それは、スケールです。
「えー、またスケール?」と思われるかもしれませんが、本当にスケールは「万能」と言ってもいいくらいの要素が詰まった練習なのです。
私が大学生の時に、師匠からやるように伝えられていたスケールは、1小節もしくは2小節単位で、半音ずつ主音(調)が変わっていくものでした。
これは、主和音(C-durならドミソ、D-durならレファ♯ラ)の分散和音ですが、いわゆる「ドレミファソラシド」の音階や、「ドミレファミソファラ…」と三度ずつ進んでいくものなど、本当に様々なパターンの練習をするように言われていました。
これらのスケールには、練習する理由がたくさんありますが、今回生きるのは「瞬時に調の切り替えをする能力」です。
調を捉える力をつけよう
半音階で主音が進んで行くということは、C-dur(調号なし)、Des-dur(♭5こ)、D-dur(♯2こ)、Es-dur(♭3こ)、E-dur(♯4こ)…といった具合に、目まぐるしく調が変わっていきます。
曲の中では、ここまで転調することはほぼないと思われますが、一瞬で調を捉え、その調号に頭と指を切り替える訓練は、やっておくに越したことはありません。
「調を捉える」と言っても、何も「♭4こはAs-dur!(もしくはf-moll)」とわからなければ駄目、ということではなく、「♭4こなら、シとミとラとレにつく」というのが、とっさにわかればいいのです。
(もちろん何調なのかわかるなら、その方がいいですよ!)
運指を指に覚え込ませる
「今回のこの曲は、こことここの音に♯をつけてみようかな」「こっちの曲は、この音にしてみよう」なんてことは決してなく、♯と♭がつく順番は決まっています。
♯は「ファドソレラミシ」、♭は「シミラレソドファ」です。
ですので、♯が3この曲なら「ファドソ」につきますし、♭が5こなら「シミラレソ」につきます。
まずは、この順番を呪文のように唱えてしっかり暗記し、その後はスケールでしっかり運指を指に覚え込ませれば、曲によって変わる調や、曲中での転調にも対応できるようになります。
しかしこれは、急にできるようになることはありません。
こつこつと積み重ねることで、自然と指が動くようになるのです。
どんな調も吹きこなせる日を目指して、少しずつ練習していきましょう。