運指の改善で曲の難易度が変わる!
今日はお仕事の後にレッスンを入れている生徒さんのレッスン日。
昨日、所属している吹奏楽団の練習があったそうで、11月の本番(市の文化祭)の曲が決まったとのこと。
今日は、その中の1曲の楽譜を持ってこられました。
クラリネットでシャープが4つ
クラリネットの運命(さだめ)と言ってしまえばそれまでなのですが、♯が4つもついた曲(ファ・ド・ソ・レに♯)
「この調、苦手なんです…」とおっしゃっていました。
気持ちはとてもわかります。
写真の音域のシ・ド♯・レ♯を吹くのに、右手と左手の小指を駆使して吹かねばならないからです。
クラリネットの過酷な運指
そして、厄介なのはレ♯に替え指がないこと。
例えば「シ・ド♯・レ♯・シ」と吹くには、シを右、ド♯を左、レ♯を右、最後のシを左で押さえます。
「ド♯・シ・レ♯・ド♯」と吹くには、ド♯を右、シを左、レ♯を右、最後のド♯は左で押さえないといけません。
このように、レ♯を軸に指を考え、その都度変える必要があるので、「いつもシは右にしよう」や「なんとなくパッと押さえた方の指でいいや」が通用しません。
何も考えずに吹いてしまうと「レ♯に行きたいのに進めない…」ということになってしまいます。
難しい運指の練習方法
楽器の構造上、これらの問題を防ぐには、あらかじめ練習するしかありません。
その調の、様々な音階練習を普段からやっておくと、最適な運指を瞬時に捉える勘も、徐々に養われます。
また、運指表を見て、どの音にどんな替え指があるのか知っておくことは、この練習の必須事項。
レッスンをしていても「え、その音って替え指あるんですか?」と言われることも、よくあります。
私は小学生の頃、「全然違う指なのに、同じ音が出るなんて!」とおもしろがって、運指表にある音を片っ端から出して遊んでいました。
おかげで、替え指にはかなり詳しかったので、運指において苦労することはあまりなかったように思います。
「指がわからないから、運指表を見なきゃ…」と、仕方なく見るのではなく、ぜひ興味を持って運指表を開いてみて下さいね。
楽譜に必ず書き込もう
そして、うっかりミスによる「指が足りない…」を避けるためには、楽譜に必ず書き込みをしましょう。
私も絶対にやります。
レ♯からさかのぼって、最初に小指を使う音の上に「右」「左」もしくは「L」「R」と書いておく、それだけで迷ったり間違ったりがなくなるはずです。
もう一点、写真の中にあるカギかっこのような印ですが、これは指を滑らせて吹くことを表します。
レ♯に替え指がないため、その音を中心に運指を交互にすることはお話しましたが、それはレ♯とレ♯の間にある音の数が奇数の時にのみ当てはまります。
「レ♯・シ・レ♯」であれば、右・左・右。
「レ♯・ド♯・シ・ド♯・レ♯」であれば、右・左・右・左・右。
一方、偶数の「レ♯・ド♯・シ・レ♯」「レ♯・シ・ド♯・レ♯」などのパターンが出てきた場合は、左右交互にすることはどうやっても無理ですので、左手の「シ→ド♯」、もしくは右手の「レ♯→ド♯」を滑らせて対応します。
この「滑らせる」というのは、意外と難しいので、間に音が入ったり、自分の動きたいタイミングで動けなかったりすることがないよう、繰り返し吹いてみましょう。
スムーズに曲を吹くためには、どちらもとても大事なことです。
自分のものになるまで、コツコツと練習を続けて下さいね。