ドイツで楽器工房巡り~クラリネット工房~
何年か前に、ドイツのクラリネット工房を見学させてもらう機会がありました。
意外と目にするチャンスがない、楽器工房。
今回は、そのことについて綴ろうと思います。
ミュンヘン経由でバンベルクへ!
伺ったのは、バンベルクにあるシュヴェンク&セゲルケ。
ドイツには、物作りをするための資格「マイスター制度」というのがあります。
手工業で独立開業するためには、定められた期間修業し、この「マイスター」の資格を取る必要があるのです。(例外もあるそうですが)
そんなわけで、マイスターシュヴェンクと、マイスターセゲルケのこちらの工房を、見学させていただきます。
今まで、知人の修理工房は見せてもらったことがありましたが、楽器作りの場は初めてだったので、わくわく。
中の様子は…?
入ってみてびっくり。
楽器作りと聞くと、とても繊細な印象ですが(もちろん繊細な作業もありますが)、さながら工業製品を造る工場のようです。
見習いのお兄さんが、埋もれています。
ほぼ物はなく、整然と工具のみが並んだ、日本の伝統工芸の工房のような風景を想像していたので、なんだか妙なテンションに。
ふと壁際に目をやれば、管体がいっぱい。
一番上の段は、ベルになる部分ですね。
細かな機械も見せてもらおう
こちらは、マウスピースを削る機械。
大まかに削って、細かい部分は手作業だと思われます。
楽器のベル(一番先の広がってる部分)を削っている機械も。
これも、仕上げは手作業のはずです。
マウスピースもベルも、こんな風に削り出されているんですね。
見慣れない素材も!
通常、クラリネットの管体には、アフリカ原産のグラナディラという木が使われます。
(ちなみに、グラナディラは元々黒いわけではなく、少し茶色や紫がかった色で、あのクラリネットの黒は塗料の色です)
この工房では、もちろんグラナディラも使用していますが、柘植(つげ)を使った楽器も作っています。
普段私達が使っている楽器よりも、かなり重量が軽いです。
マイスターセゲルケが、吹いて聴かせて下さいました。
管体の重さ同様、音色も軽やか~。
やっぱり、素材で音色は変わるんですね。
「マウスピース持ってきてないの?あれば吹かせてあげるのに」と言われました…
まさかそんな風に言ってもらえるとは思わず。
うっかりしてました…
人生二度目のご対面
そして、一番小さいクラリネット。
A♭(アス)管と言います。
大学時代に友人が吹いているのを見たことがあるだけで、人生二度目のご対面。
「わー!吹きたい、吹きたい!」と騒いでいたら、これは吹かせてもらえました!
私がいつも吹いているクラリネット(フランス管)とは指づかいが違うので(これはドイツ管)、指づかいを教えてもらいながら、低い音から高い音まで。
なんだかかわいらしい音がしました。
とても親切なマイスター
日本の楽器店にも楽器を卸しているからか、いきなり現れた私達にもとても親切にして下さいました。(もちろんアポは友人が取ってくれてましたが。)
また機会があったら、次回は必ずマウスピースを持って伺いたいと思います。
そしていつか、色んな長さの楽器を買えたらいいなー。
おまけ。
ドイツ在住の友人曰く、バンベルク一番の見所。
宙に浮いた建物。