吹奏楽におけるクラリネットパートリーダーの仕事と役割
学校の吹奏楽部で、外部クラリネットパート講師を務めると、パートリーダーとなった生徒から色々と相談を受けることがあります。
私そんなに上手ではないんだけど、
なぜか選ばれてしまって…
初めてのパートリーダーで、何をしたらいいのか自信がない…
どうしたらいいものか、さっぱりわからない…
突然の事で不安になるのも当然です。
学校の部活の場合は、顧問の先生もいらっしゃいますし、部によって条件が様々なので、今回は私が経験した、一般バンドでのクラリネットパートのパートリーダーの役割を例に挙げてご紹介します。
一般バンドも学校も、楽器を問わずパートリーダーとしての基本的な役割は変わらないので、初めてパートリーダーとなった皆さんは、ぜひ参考にしてみてください。
パートリーダーって何?
パートリーダーは各パートをまとめ、より良い演奏をする為に皆を導いていく役割を担う人です。
出席管理から練習内容まで、やることはさまざまですが、パートリーダーの力量一つで、演奏は大きく変わってきます。
特定の条件を満たしていない人には務まらない、重要なポジションです。
パートリーダーには誰が選ばれるの?
では、パートリーダーにはどんな人が選ばれるのでしょう?
パートリーダーは、パート中で1番上手な奏者がなる、というわけではありません。
「パートリーダーやってよ!あなたにピッタリ」
「え?エェェェェエエ!?」
となった私みたいな方も多いかと思います。
そんな頼られるタイプではないのに…なぜだ…ですよね。
実は経験してみると良く分かるのですが、この「パートリーダーやってよ!」には、
- 管理能力
- 行動力
- 信頼
といった要素が含まれています。
そんな能力は絶対にない!というあなたは、どこかでメンバーに何かをしてあげてしまい、盛大に勘違いされている可能性があります。
ここで全力でお断りするのもありですが、このパートリーダーは音楽以外でも、その後の人生で役立つ経験を積むことができます。
初めてなんだからわからなくて当然!
胸を張ってトライしてみる事をオススメします。
パートリーダーの仕事内容
パートリーダーの1番の役目は、パートを1つにまとめ上げ、楽団として、より良いパフォーマンスを披露するために、パートのレベルを上げていくことです。
この目的を達成するためには、裏方仕事も多くこなさなければいけません。
一般の吹奏楽団での仕事をご紹介しましょう。
- 出欠の管理
- パート分けと席順決め
- パート練習の場所の手配
- お金の管理
- パート練習の取り仕切り
- パート譜の管理
出欠の管理
パート全員の予定を管理し、練習時の出席状況を把握しておくことで、パート分けに役立てることができます。
「いつも3番がいないねぇ…」といった事態が起きることもなくなります。
パート分けと席順決め
どの人とどの人を組み合わせたらいいか、個人の技量と適性、そして音量や演奏上の相性を考慮して、パート分けをしていきます。
出席状況を踏まえて、全体のバランスを見ながらパートを決め、併せて席順も決定してしまいましょう。
各パートのトップを決めてから、他のメンバーを配置していきます。
練習のたびに席が替わるような事は避けましょう。
合奏やパート練習では、隣の音を聴きながら吹く必要があるため、その日の気分で席を替え、隣の人が毎回違うようなことが起きてしまうと、本番で力を発揮できなくなってしまいます。
2人1組のグループを作り、Aさんが右でBさんは左、というように、必ずその2人は同じ並びにして配置を考えていくのも有効です。
パート練習の場所の手配
パート練習をするには、場所を手配しなければなりません。
近くの地域センターや、時にはリハーサルスタジオを借りて練習することになります。
公共の施設の場合は、団体登録をすると割引や優先予約が使えることがあるので、調べてみるのもいいでしょう。
場所の目星をつけておきつつ、出欠を取り、キャンセル・決行を決断しましょう。
合奏練習が週末昼間の場合には、大変ですが、合奏の練習が終わった後にパート練習を行うと、出席率が比較的高く、また、その日の合奏練習で指揮者に指示されたことを、すぐに練習できる利点もあります。
お金の管理
場所の確保には大抵の場合、お金がかかります。
その時の練習に出られる人だけで利用料を割ると不公平になるので、パート全員で同額負担になるように、上手に運営して行きましょう。
一般バンドでパートリーダーを務めていた時は、学生が含まれている場合、大人よりも少し割り引き、負担が減るように配慮していました。
お金は揉め事の原因にもなる重大な要素です。
パート練習の出欠を取る際に、お金に関して一言添えておくと良いでしょう。
パート練習の取り仕切り
場所が決まったら、いよいよパート練習です。
パート練習は、時間でやる曲を割り振るのではなく、優先順位を決めて練習していくことが重要です。
優先順位
- 合奏で指揮者に指示されたこと
- 自分が気づいたこと
- パートの人が練習したい箇所
といった項目に注意しながら、全体のバランスを見て練習していきましょう。
パート譜の管理
まずは楽団から渡された原譜をコピーしましょう。
楽団のパートによっては、原譜を1人ずつ渡して、各自コピーさせるところもありましたが、紛失につながりやすく、後年の演奏時に支障が出ることもあるため、大量のコピーは大変ですが、原譜はパートリーダーが管理した方が良いでしょう。
人数分楽譜をコピーしたら、パートの人達に渡しつつ、コピー代をきちんといただきます。
パートの人数が多いと、見過ごせない金額となるので忘れずに受け取りましょう。
パートリーダーによって変化する音のまとまり
合奏において、パートがより良いパフォーマンスを披露するために活躍するのが、パートリーダーです。
裏方の仕事をこなしつつ、皆が気持ち良く、練習や本番に挑める準備を整えることで、全員が演奏で高いパフォーマンスを発揮することができるので、パートリーダーによってパートの音は大きく変わります。
もちろん時間と手間はかかりますが、その分パートがまとまれば充実感があります。
私がクラリネットパートのパートリーダーをやっていた時は、かなりの労力をかけていたように思いますが、慣れてしまえば、大変だとも思わないようになります。
他パートの団員から、「クラリネットパートはとても良くなった」なんて言われたら、パートを影で支えてきた自分を褒めてあげましょう。
特に、クラリネットは人数も多く、合奏の善し悪しを握っている重要なパートですからね。
きっちりパートをまとめ上げて、みんなが気持ち良く演奏できる環境を目指してください。