編成によって違うチューニングについて知ろう
東京クラリネット教室2018年5月28日、今年5回目の合奏未経験者向けアンサンブルが行われました。
以前から参加の2名と、先月体験にいらして下さった方、さらに本日も体験参加の方が1名。
そこに講師も加わって、未経験者向けアンサンブル初の5名での演奏となりました。
厚いサウンドが期待できますね。
人と合わせる時には、前向きに!
ただ、ワクワクしている講師とは裏腹に、皆さん少し不安そうな表情。
なぜ不安なのかと言うと、過去に合奏経験のない方の多くは、「自分が失敗したせいで、人に迷惑をかけてしまったらどうしよう…」と考えてしまうからなんです。
もちろん、吹奏楽やオーケストラの経験がある方達は、平気で間違える、というわけではありません。
「失敗したらどうしよう」と考えるか、「楽譜通り頑張って吹こう」と思えるか、の違いですね。
音を間違えたり、「キャッ」と鳴ってしまっても大丈夫です。
そこで「なんでそんな風に吹くわけ?迷惑なんですけど!」なんて思う方は、楽しく楽器をやっている方の中にはいないはずですから。
みんなでウォーミングアップ
今回も、全員で最低音「ミ」からhigh B♭までロングトーンをしてから、チューニングをしました。
チューニングの仕方や注意点は、前回ご説明しましたね。
編成によって異なるチューニングの方法
今日は、もう1つ、「チューニングをする音」について、説明しました。
演奏前にするチューニング、実は吹奏楽とオーケストラでは使う音が異なるのです。
吹奏楽でのチューニング方法
よくご存知の方も多いと思いますが、吹奏楽では「B♭(ベー)」という音でチューニングします。
B♭クラリネットで言う「ド」の音です。
低い音しか出せない初心者さんを除き、真ん中の「ド」(一番多く指を押さえる「ド」)で合わせます。
なぜこの音が使われるのかと言うと、吹奏楽にはB♭管の金管楽器が多いからです。
と言われても「???」だと思いますので、ちょっと詳しくお話しましょう。
チューニングは、楽器が一番自然な状態で合わせる必要があります。
トランペットやユーフォニアム、テューバだったらピストンを何も押さえていない状態、トロンボーンだったら、スライドを伸ばしていない状態が、それに当たります。
金管楽器は、その状態でもいろんな音が出せますが、その中の音の1つが「B♭」で、「B♭をその楽器のドと決める」=「B♭管」の楽器が多いのです。
ですので、吹奏楽ではチューニングに使われる音は「B♭」になります。
ちなみに木管楽器だと、私達B♭クラリネットの他に、ソプラノサックスやテナーサックスもB♭管です。
オーケストラでのチューニング方法
弦楽器が入ってくると、チューニングの音は「A(アー)」になります。
B♭クラリネットだと「シ」の音です。
先程の「ド」のすぐ下、全ての指を押さえる「シ」の音で合わせます。
オーケストラで使われる弦楽器は、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの4種ですが、これらの楽器には4本の弦が張られています。(コントラバスは5本の場合もあり)
楽器ごとに、その4本を何の音に合わせるかが決まっているのですが、どの楽器にも共通で張られているのが「A線」と呼ばれる弦です。
先程の金管楽器の話同様、弦楽器も弦を押さえていない状態(開放弦と言います)で基準を合わせるべきですので、この共通音「A」が、弦楽器と一緒に合わせる時のチューニングの音になります。
吹奏楽やオーケストラで演奏する時に戸惑わないように、覚えておいて下さいね。
いよいよ仕上げ
さて、本日の演奏曲も、この2曲です。
- くるみ割り人形より 行進曲
- 別れの曲
年明けから演奏していたこちらの曲、今日は仕上げに入ります。
四重奏の楽譜に対し、4名の参加者ですので、今日は講師が手を叩きながら、細かに見ていくことにしました。
音楽的な表情の切り替え
上記の2曲は、とても短く編曲されていますが、その中にもいろいろな表情があります。
『くるみ割り人形』であれば、「しっかり・きっちり」吹く部分と「軽やか」に吹く部分。
また、『別れの曲』は、「穏やか」な流れと、「力強い」部分。
それらを、きちんと見極め、また、頭をぱっと切り替えて、表現することが求められます。
フレーズを吹き始めてから「あぁ、そうだった。ここはこう吹くんだった…」では、他のパートの表現を打ち消してしまうこともあります。
1人で練習する時も、どう吹くべきか・どう吹きたいのかを考えながら、気を配って吹きましょう。
最後に通してみましょう!
今までは、足でカウントし続けたり、今日のように手拍子に合わせて吹いていましたが、それでは仕上げとは呼べません。
「では、今からカウントなしで通しましょう」とお伝えしたところ、「じゃあ、どこに合わせるんですか…?」と心配そうに聞かれましたが、小編成アンサンブルとは本来そういうものです。
まずは、自分の中できちんと数え続けること。
そして、ブレスも含め、周囲の気配に気を配ること。
また、慣れてきたら、アイコンタクトしたり、別パートの運指をチラ見する、なんて方法もあります。
慌てずに、そして合わせることを楽しみながら、少しずつできることを増やしていけるといいですね。
やってみたらちゃんとできた!
最後は、講師もバスクラリネットで参加し、簡易的に低音パートをつけて、全員でアンサンブル。
演奏前は皆さん心配なさっていましたが、大きくずれたりすることもなく、音楽的なことも意識した、良い演奏ができました。
まさに『案ずるより産むが易し』ということで、「人と合わせるなんて緊張しちゃうから、アンサンブルは無理…!」という方にも、一歩踏み出していただけたらいいなと思います。
次回からは、新しい曲に挑戦しましょうね。
リクエストがあれば、ぜひお知らせ下さい。
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