合わせる時は「心地よさ」を一番に考えて演奏しよう
アンサンブル前最後のレッスンだった、今日の生徒。
この一週間全然楽器が吹けなかったそうで、不安がっていましたが、ロングトーンは問題なし。
ただ、「少し口が疲れた~」とのことだったので、今日は休み休みやりました。
しかし、ただ休んで雑談…ではレッスンではなくなってしまうので、今月のアンサンブルをより良くするために、「音程」について話すことにしました。
周りの奏者と合わせる、ということ
普段、1人で練習している時と、アンサンブルや合奏をやる時、大きく違うことは「『周りと合わせる』という作業があるかどうか」です。
『合わせる』と一言で言っても、いろいろな要素があります。
テンポやリズム、出だしのタイミングと音の切り方、アーティキュレーション、曲のイメージなどなど…
そして、もちろん音程もそこに含まれます。
吹奏楽やオーケストラで吹いている人なら「チューニング」は、とても馴染み深い作業だと思います。
むしろ、それなしに合奏をすることはないですよね。
では、「チューニングをしたから、それで全部大丈夫!」となるのでしょうか。
それは違います。
チューニングは、あくまで「全体の音程を合わせるための、基準・目安を作ること」です。
チューニングは万能?
吹奏楽のチューニングであれば「B♭」、オーケストラであれば「A」の音を合わせます。
吹奏楽の楽器には、何も押さえずに「B♭」が鳴る楽器が多いこと、弦楽器には何も押さえずに「A」が鳴る弦が張ってあることが、それぞれの理由です。
複雑な指をして鳴らした、不安定な音を合わせても仕方ない、ということですね。
そしてこれは、先程も言った通り「基準」「目安」であり、「B♭の音1つ合わせただけで、全部がぴったり合う~!」なんて、魔法のようなことはありません。
特に管楽器には、構造上の「クセ」があります。
「この楽器のこの音は低くなりやすい」「この音域は全体的に高い」などです。
クラリネットも、開放の「ソ」の周辺は、上ずりやすくなりますよね。
一方、最低音に向かっていけば、どんどん音程が下がっていきます。
「B♭」や「A」の音を合わせるのは、「その音を合わせて基準にすることで、音程の上がり幅・下がり幅の計算をしやすくする」ためなのです。
では、他の音に関しては、どうすればいいのでしょうか。
「心地よさ」を追求しよう
まずは、自分の楽器のクセを知ることが大切です。
先程も書いた、開放の「ソ」周辺の音の上ずり方も、楽器によって異なります。
最低音に向かって下がっていく幅も、同じです。
音程に関して、チューニングメーター(チューナー)に頼ってしまうのはお勧めしませんが、クセを知るためには有効です。
楽器を出してすぐの音程(夏と冬両方)、基礎練習を○分やったあとの音程、下がりやすい音・上がりやすい音などは、チューニングメーターを使って把握しておきましょう。
そしてその上で、周囲と合わせる時には「その音が心地よく響いているかどうか」に重きを置いて下さい。
同じ音でも異なる音でも、2つ以上の音を同時に鳴らした時に、音程にずれが生じていると「うなり」が発生します。
字で書くのは難しいのですが「うゎんうゎん…」という感じで、周期的に音と音の間に波が発生します。
この「うなり」があると、絶対に心地よくは聞こえませんので、なくす必要があります。
始めは「ずれているかわからない」「うなっているかわからない」という状態かと思いますが、気にかけることでだんだんと聞こえるようになってきます。
ずれに気づけたら、気を配り、寄り添う気持ちがあると、音程は合いやすくなります。
あまりに全部の音がずれている時は、チューニングメーターで、再度基準の音が合っているかを確認しましょう。
機械に頼りすぎないように
「うなり」が細かければ、音程は大きくずれています。
反対に、ゆっくりと「うなって」いる場合は、音程はごく近いということです。
「私、さっきチューナーにぴったり合ってたもん!」では、他の人と「心地よい響きを作る」ことは困難ですので、周囲と合わせる気持ちを常に持って、アンサンブルや合奏に臨んでみて下さい。