クラリネットのリードミスをなくす方法
音の吹き始めに「ピッ」と鋭い音が鳴ったり、一生懸命吹いているフレーズの途中で「キャッ」と鳴ってしまったり。
クラリネットは、音を外してしまった時に「あぁ、やっちゃった…」と悲しくなるくらいの音が鳴る楽器です。
東京クラリネット教室に通われている生徒さんにも「リードミスが多い」「練習なら平気なのに、本番でピーピー言う」などの悩みを抱えていらっしゃる方が、多くいます。
今日は、その原因と対策についてのお話です。
リードミスの原因は口と息のバランス
いわゆる「リードミス」には、実際にリードの問題から起きているものと、実はリードは関係ないものがあります。
まず、リードによって起きている場合について見ていきましょう。
リードミスの原因は「口」と「息」のバランスです。
『適切なくわえ方ができていない状態』で『息をしっかり入れている』と、リードミスが起きます。
口が締まりすぎている場合
口が締まりすぎている時は、リードにかなりの圧力がかかるため、リードが振動する余地が少なくなります。
それに対し、強い息を入れようとすると、リードがうまく振動できず「キャッ」という音が発生します。
本番や、レッスンなど人前で吹く時に「いつもは鳴らないのに…」という箇所でリードミスが起きる場合は、この状態であることが多いはずです。
緊張していたり、気合が入っていることから、口が締まってしまうのです。
また、曲中のブレスの時に、慌てて口を閉じて吹き始めた時などにも起こります。
口が緩い場合
では、口を緩めればいいかというと、そういうわけでもありません。
リードに適切な圧がかかっていないと、本来振動させない部分(下の方の徐々に厚くなっている部分)まで、振動しようとします。
すると、リードの薄い部分と厚い部分がバランスよく振動しないため、「ギャッ」という音に繋がるのです。
「きつい音色にならないように」と気をつけすぎてしまうと、この状態に陥ってしまったりします。
リードミスを減らす方法
では、これらを防止するには、どうしたらいいのでしょうか。
まず「息をきちんと入れられているから、リードミスが起きるんだ」と、前向きに捉えるようにしましょう。
その後は、どのようなくわえ方・圧力のかけ方をした時にすっと音が出せるのか、ロングトーンや音階などの基礎練習の時に、気を配って練習しましょう。
クラリネットを吹く時には必ず、そこで見つけたアンブシュアーで吹くようにすれば、リードミスは激減するはずです。
これは駄目!間違った解決策
リードミスをなくすための間違った解決策は『息を緩めてしまうこと』です。
前述の通り、口と息のバランスが崩れていることが原因のリードミスは、「息をしっかり入れている」ことで起こります。
ですので、息をそーっと吹き込めば、リードミスは起こりえません。
一番簡単に、リードミスを回避できる方法ではありますが、出だしのクリアさはもちろんなくなりますし、もしそれが短い音であれば、きちんと聞こえないまま、次の音に移ることになってしまいます。
ロングトーンで伸ばしている時の息のスピード・量を意識して、音の始めからその息を入れるように心がけましょう。
リードが関係ない「キャッ」の原因
口と息のバランスによるリードミスの他、始めに書いた通り「リードが関係していないのに、鋭い音が鳴る」こともあります。
この原因は、運指によるものです。
速い動きで、指が追いつかずトーンホール(指穴)をふさぎきれなかったり、うっかりトリルキーやその他のキーなどに触れて(押さえて)しまった場合に起こります。
これも、基礎練習の時に、力の抜けた、無駄のない動きを自分の指に覚えこませることで、徐々に良くなっていきます。
鏡を活用すると、よりわかりやすいですよ。
リードやマウスピースが原因のことも
「口も息も指も気にかけているのに、どうしてもリードミスがなくならない…」
そんな時にもう一つ考えられる原因が、リード自体やマウスピースによるものです。
音の出だしや、タンギングをするたびに「ピッ」「ピッ」という音がする場合は、リードを替えてみましょう。
あっさりと解決する場合があります。
マウスピースは、簡単に交換することができませんので、選定する時にタンギングやスタッカートで吹いてみることを、忘れずにやりましょう。
学校の備品を使っているのであれば、他のマウスピースに交換させてもらえると、解決できるかもしれません。
気にしすぎないことも大切
他の管楽器が音を外してしまったりするのに比べ、クラリネットのリードミスはとても目立つため、つい消極的な演奏になってしまいがちです。
しかし、プロでもリードミスはします。
開き直って、ピーピーキャーキャーした演奏をするのも良くありませんが、必要以上に怖がることはありません。
「口に力を入れすぎていないかな?」「指はちゃんとふさがってるかな?」など、基礎練習の際に気を配り、安定した吹き方を手に入れて、リードミスのない演奏を目指しましょう。