クラリネットリードのつけ方の手順とコツ
前回は、クラリネットのリードをつける際に、注意すべきことをお伝えしました。
今回は、「注意点はわかってるけど、リードが思い通りにならないっ!」とお悩み中の方々のために、リードをつける際の手順の一例をご説明します。
リードケースからのリードの出し入れ
つけ方をご説明する前に、まず一点。
リードは、欠けてしまうと使えなくなってしまいますが、欠けさせてしまう原因の上位に入るのが、リードケースからの出し入れ。
リードを買った時に入っている、個別のケースのままリードを持ち歩いている人は、特に注意が必要です。
真ん中と左のタイプのケースは、多くの方が持っているのではないでしょうか。
このケースは、リードを横にスライドして出しますが、その際必ずリードの薄い部分(先端部分)が外にある時間を長くします。
ですので、リードをケースから出す時は上から出し、入れる時は下から入れます。
誤って逆にしてしまうと、先端部分がケースの内部にぐちゃっとぶつかってしまうことになりますので、注意しましょう。
また、一番右のタイプのケースの場合、ただ抜き差しするだけですが、このタイプですとリードケースにリードを引っかけてしまいやすいので、丁寧な出し入れが必要です。
では、リードのつけ方を、一般的な順締めのリガチャーを使って、順を追ってご説明します。
リードの高さを合わせる
リガチャーをマウスピースにセットし、リードをスライドさせて、リガチャーとマウスピースの間に差し込みます。
その時は、
この写真のように、左手でリガチャーを少し上に上げると、差し込みやすくなります。
また、まっすぐ上から差し込むのではなく、少し斜め方向から入れると、入れやすいですよ。
そのままスライドさせながら、高さを合わせていきますが、
先端部分には触らないようにしましょう。
親指の腹を、リードの表面に当てて滑らせると、やりやすいと思います。
先端を人差し指で押した方が楽に思えますが、力のかけ方を誤ると、割れてしまいます。
高さが合ったら、右手でぐっとマウスピースとリードを挟み込んで、リードが動かないように固定します。
リードがまっすぐか確認
次に、リードが曲がっていないかチェックします。
もし、マウスピースの平らな部分からはみ出しているリードが均等でない時は、このように、左手親指の爪を使うと、大きくずれたりせずに、微調整が可能です。
この時も、まだ右手親指は力を入れたままにしておきます。
リガチャーをまっすぐ下ろそう
リードがまっすぐになったら、リガチャーを下ろしますが、何も考えずに下ろすのではなく、リガチャーの中心がリードに対してずれていないか、注意しながら下ろしましょう。
右手親指の力はそのままです。
リガチャーを、ちょうどよい高さまで下げたら、今度は
左手の親指でリガチャーをぐっと下げるように力をかけます。
(逆締めの場合は、左手全体で)
リガチャーのネジをゆるめすぎていると、ここで力をかけた時に、狙っていた位置よりリガチャーが下がってしまいますので、注意が必要です。
リガチャーを左手で固定したら、右手は離して大丈夫です。
リガチャーのネジを締める
ここまで来たら、あと一息です。
左手の力はゆるめず、ネジを締めていきます。
ここで、左手の力を抜くと、ネジを締めるのと共に、リガチャーがずり上がっていくこともありますので、下方向に力をかけることを忘れないようにして下さい。
ネジを締める際、
2つネジがあるリガチャーに関しては、必ず上のネジから締めましょう。
なぜならば、上のネジはリードのほぼ真ん中に位置し、真ん中を固定すれば、リードが左右に曲がってしまうことが避けられるからです。
逆に、下から締めてしまうと、リードの上部がフリーになるので、せっかくまっすぐに合わせたのに、傾いてしまうことがないとは言えませんので、上のネジから締めて下さい。
上のネジを締めたら、左手は離していいですよ。
ネジはどこまで締める?
さて、一番気を抜きがちで、でもかなり重要な「リガチャーのネジを締める強さ」。
くるくるとネジを回していて、少し抵抗が変わったな、というところで、止めてしまって大丈夫です。
多少ゆるく感じても、リードがずれなければ構いません。
たまにぎゅーぎゅーとネジを締めている人を見かけますが(私も昔そうでした)、リードは人間で言うところの声帯です。
声帯は喉の筋肉で、すき間に空気を通して振動させ、声を出すわけですが、喉元をぐっと押さえられてしまっては、うまく声が出ませんね。
同じくリードも、リガチャーをきつく締めてしまうと、ちゃんと震えることができません。
リードにこのような線が入っている人は、締めすぎです。
リガチャーを締める強さに気をつけながら、下のネジも締めれば、リードつけは完了です。
左右どちらかの親指で固定していく
今回お伝えしたリードのつけ方のポイントは、必ず、左右どちらかの手に力を入れて、リードもしくはリガチャーを固定することです。
リードの高さ等を合わせたら右手親指に力、リガチャーを合わせたら左手親指、というふうに、左右の手で交互に固定することで、すんなりとリードがつけられますし、合わせたあとのズレも防止できます。
もう1つのつけ方
今までの経験上、ここでお話したつけ方ではなく、「まずリードをマウスピースに合わせて、上からリガチャーをかぶせる」という方も、いらっしゃるかと思います。
実際、その方がリードが扱いやすく、楽だとは思うのですが、リガチャーを下ろす時に、リードに引っかけてしまうリスクがありますので、特にクラリネットを始めたばかりの方にはお勧めしていませんし、私も怖くてやっていません。
リードを割らないように充分気をつけられれば、もう1つの手順として、有効だと思います。
ポイントを押さえて正確につけよう
最も大切なのは、正しくリードとリガチャーをつけることです。
この記事を参考に、自分に合ったやり方を見つけ、手早く正確につけられるようになりましょう。