クラリネット演奏で口の中につばが溜まってしまう理由
朝から暑い日々が続いていますね。
クラリネットを、黒いケースやケースカバーに入れている方が多いと思いますので、直射日光にはくれぐれも気をつけて下さい。
ケース内部が、驚くほど高温になってしまうことがあります。
人が心地よく思わない環境は、楽器にとっても良くないということを、忘れないようにしましょう。
さて、レッスンをしていて、「楽器を吹いていて口の中につば(唾液)が溜まってしまうのはなぜか」という質問を受けることがあります。
演奏しにくいだけではなく、リードにつくと雑音の原因になってしまうので、理由を知って、なるべく避けられるようにしていきましょう。
口の中につばが溜まってしまう主な原因
クラリネット演奏中に、口の中につばが溜まってしまう理由は、いくつかありますが、私が主な原因と考えているのは、「呼吸の仕方」です。
「呼吸の仕方がどう関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は大いに関係あります。
本来、クラリネットを吹く時には、腹式呼吸を使います。
上手に腹式呼吸ができていると、お腹に入った空気が、自然に出てきて、そのまま口を通過して楽器に入ります。
あくまで「口は通り道」という感じですね。
ところが、腹式呼吸ができず、お腹にうまく空気を入れられていないと、お腹から自然に息を出すことができないため、口元でなんとか息を送り出そうとしてしまいます。
試しにお腹にたっぷり息を吸い込み、「ふーっ」と出してみましょう。
先程お話した「口は通り道」が、なんとなくわかっていただけるかと思います。
次に、あまり息を吸い込まずに、口元で息を作り出すようなイメージで、出してみます。
こちらは「ふーっ」というよりも「ぷーっ」や「とぅーっ」といった感じに近いですね。
口元で息を作り出すと、お腹から息が自然に出てくる時に比べて、口が狭くなり、これが、演奏時に徐々につばが溜まってくる一因になります。
そんなことはやるべきではないですが、つばを前に飛ばそうとしたら、口を狭めて「ぷっ」とやりますね。
その状態で吹き続けているのと同じことになりますので、そう言われればだんだんとつばが溜まることも、ご納得いただけるかと思います。
口先で一生懸命息を出すのではなく、たっぷりお腹の中に入れて、「口は通り道」をしっかり実践しましょう。
他に考えられる理由
呼吸の仕方以外にも、いくつか原因が考えられます。
一生懸命タンギングをしようとしている
これも、先程の「口元で息を作り出そうとする」状態に似ているのですが、タンギングをするのに「トゥ・トゥ・トゥ」と口先で発音するようなイメージになってしまっていたり、それに伴って息がまっすぐお腹から送り出されていないと、口内につばが溜まってきてしまいます。
「トゥ」という音は、前に息を瞬間的に飛ばす発音です。
マウスピースをくわえた状態で、それを繰り返していると、リードにつばがついてしまう原因になりますので、思い当たる場合は、タンギングの仕方も見直してみましょう。
直前の水分の摂りすぎ
「本番は緊張して、口がカラカラになる…」なんて心配して、演奏する直前に水分を口に含んだり、また、今の時期は特に、熱中症の危険も叫ばれていますので、こまめに水分を摂るようにしている方も多いと思います。
これも、口の中につばが溜まりやすくなる原因になり得ます。
ただ、これは外的要因ですので、少し演奏していれば、すぐに落ち着くはず。
そこまで気にしなくて大丈夫でしょう。
むしろ、「本番前に水分を摂ることで、吹き始めはなんだか違和感」→「緊張で口の中がカラカラになる」は、口内の状態が変化しすぎて、平常心で吹けなくなる可能性もあります。
口がカラカラの状態で挑むことは決してお勧めしませんが、水分を摂りすぎてしまうことも注意しましょう。
はっきりとした原因が不明
もうこれは、できることならお伝えしたくないことではありますが、残念ながらはっきりとした原因が不明である場合もあります。
私自身、「今日やたら口の中につばが溜まるけど、なぜ…」と、どうしていいかわからないこともあるからです。
しかし、何かしら普段と違うことはあるはずです。
例えばリードが吹きにくかったりしないか(吹きにくいと、頑張って息を入れようとしてしまいます)、息の出し方やタンギングがいつもと変わってしまっていないかなど、冷静に分析しましょう。
部活などでは難しいですが、もし個人練習中などで、時間に余裕があるのであれば、一旦休憩を入れてみるのもいいですね。
「えー!なんでー!!」と慌ててしまうと、事態は悪化します。
落ち着いて対処しましょう。
どうしてもの時は「今日はそういう日なのかも…」と、諦観するのも手です。
つばに演奏を邪魔されないために
マウスピースをくわえて演奏するクラリネットは、どうしても口内に溜まるつばの問題が起きがちです。
関係ないように見えて、実はとても関係ある呼吸の仕方や、タンギングの仕方を見直して、快適な演奏を目指しましょう。