クラリネット演奏で雑音がする時の原因と対処法
7月だと言うのに肌寒い日が続いていたかと思えば、急に夏の暑さがやってきたり、なんだか落ち着きませんね。
さらに、例年より雨も多い気がしますので、体調管理・楽器やリードの管理をしっかり行いましょう。
ここのところ制限がある日々で、しばらく楽器を調整に出すことができなかった方も多いと思います。
私も、前回出してからあっという間に7ヶ月が過ぎてしまいました。
良い演奏をするためには、クラリネットの状態もとても大切です。
まだ外出に遠慮をしつつ過ごされているとは思いますが、隙を見て職人さんにみてもらって下さいね。
さて、先月あたりから、徐々に楽器が吹ける生活が戻ってきましたが、久しぶりに吹いてみて「こんなに私の音って雑音が入ってたっけ…」なんて思った方はいないでしょうか。
クラリネットを演奏していて気になる雑音には、いろいろと原因があります。
自分のせいではない場合もありますので、今回は理由を正しく知って、適切な対応ができるようにしていきましょう。
クラリネットの雑音の原因
しゃーしゃー・ざーざー言ったり、びりびりした音が聞こえたり、「クラリネットの雑音」と一言で言っても、いろんな種類がありますね。
原因としては
- 吹き方(アンブシュア)
- 吹き方(息のスピード)
- リード
- 楽器
それぞれが考えられます。
吹き方(アンブシュア)
まずは、自分自身が原因の場合です。
吹き方による雑音の場合は、「しゃー」「さー」など、すかすかしたような音がして、高い音が鳴らなかったり、音程が下がってしまったりと、他の部分でも影響があるのですが、アンブシュア(口のくわえ方)か息のスピード、もしくは両方が、正しい状態ではないことが理由です。
「リードミスが怖い」などの理由で、アンブシュア(口のくわえ方)がゆるかったり、「太い音が出したい」と口をゆるめてしまい、リードに適切な圧がかかっていないと、この雑音は発生します。
リードは、ご存知のように上部が薄く、だんだんと厚みが増す形ですね。
リードの先端から7mm~1cmくらいを口の中に入れ、「振動するのはここまででいいんだよ」と、しっかりリードに圧をかけることが必要です。
「圧」と言われても、よくわからないかもしれませんが、唇越しに、下の歯がリードに当たっている感覚を持つことを意識しましょう。
口がゆるく、この圧がかかっていないと、本来振動しなくていいリードの厚くなっている部分が「私も振動したい!」と、震えようとします。
これが、「しゃー」「さー」という音に繋がります。
また、息もれしている場合も、当然雑音が出ますので、アンブシュアの改善が必要になります。
口を横に引きすぎていたり、口をゆるめた結果、楽器の中に入るべき息が、マウスピースの脇からもれていませんか?
唇をマウスピースに密着させ、息もれがないようにしましょう。
吹き方(息のスピード)
先程も書いたように、リードミスを避けたい・響きのある音が出したい、を誤って解釈して、温かくゆっくりした息を「ほー」と楽器に入れてしまうと、リードが振動しきらず、音の密度が下がってしまうので、アンブシュアが正しくない時と同じような雑音が鳴ることに繋がります。
息をたっぷり吸って、前に向けて、しっかり冷たい息を出すようにしましょう。
リード
吹き方に問題がない場合、リードに原因がある可能性があります。
しかしそれは、リードが悪いということではなく、「今の自分には合っていない」ということです。
自分にとって硬すぎるリード・厚いリードは、きちんと鳴らしきることができないので、雑音が聞こえてしまいます。
かと言って、無理に鳴らそうと力をかけたり、息の入れ方を変えてしまうことは良くないので、入れた息がそのままきちんと音になるリードをつけるようにしましょう。
「硬い方が音色がいいから」と考える気持ちもわからなくはありませんが、音色の良さは、まず音がきちんと鳴ってこそです。
また、リードのせいとは少し異なりますが、リードにつばがついてしまうと、ざらざらした感じの雑音が入ります。
時間があるのであれば、一度リードを外してスワブで拭くのがいいですが、曲の最中などでそんな時間がない場合は、マウスピースをくわえて「スッ」と素早く吸い込んでみましょう。
それでも解決できない時は、諦めて拭き取って下さいね。
楽器
アンブシュアも息のスピードも大丈夫で、リードも万全なのに雑音が入る場合は、楽器の不調も考えられます。
先程までの吹き方やリードが原因の場合は、どちらかと言うと、楽器の音自体がきちんと鳴っておらず、さらに空気の音がしているような雑音がしますが、楽器が原因の時は、「ちーちー」「びりびり」した感じの雑音になります。
本来の音がしっかり鳴っている上に雑音が乗っかってしまっている感じ、というと、多少はわかりやすいでしょうか。
パッドによれができてしまい、そこに共鳴してしまっていたり、コルクの摩耗やキーの変形で、ぴたっと収まっているはずのキーの接続部分などに余分な遊びが発生してしまうと、そこが震えてしまって、雑音が発生します。
これは、私達の力では、どうすることもできません。
プロの手を借りる必要がありますので、すぐに調整・修理の手配をしましょう。
悩んでいたのが嘘のように、クリアな音になりますよ。
また、特定のキーを押さえた時・トーンホールを離した時に「プルプル」したような音がする時は、そのホールに水が溜まってしまっていることが考えられます。
まずはスワブで全体の水分を取ってから、そのキーとホールの間にクリーニングペーパーを挟んだり、上管であれば空気を通して、ホールの水を飛ばし、溜まってしまった水を完全に除去するようにしましょう。
多少は仕方ないのですが、なるべく水がどこかに溜まってしまう前に、こまめに掃除をするように心がけて下さいね。
正しく対処して良い音で吹こう
レッスンをしていても、雑音に悩んでいる方はとても多くいらっしゃいます。
自分が原因であれば、もちろんそれを解決するための練習が必要ですし、リードや楽器のせいなのであれば、状況を正しく把握して、それを改善する必要があります。
ただ漠然と「雑音が気になる」と思うのではなく、何による雑音なのかを見つけ出して対処し、自分の納得のいく音色が出せるようにしていきましょう。