吹奏楽におけるクラリネットパートの役割
クラリネットパートの役割と人数編成
クラリネットを始めたばかりの初心者、どの楽器を演奏しようか迷っている未経験者に、オーケストラと、吹奏楽におけるクラリネットパートの役割を紹介します。
同じクラリネットでも、曲の構成に合わせて複数のパートに分かれており、各パートごとにさまざまな役割を担っています。
まずはオーケストラの人数編成からみていきましょう。
オーケストラにおけるクラリネットの人数編成と役割
オーケストラでのクラリネット奏者は平均的に2人から4人となります。
オーケストラでは弦楽器が伴奏を担当しているので、クラリネットは基本的にソロ楽器としての扱いとなります。
弦楽器に比べると、クラリネットは出番が少ないので、長い時には90小節休み、なんてこともあります。周りの音を聞きながら、出番が来るまでじーっと待ちます。
吹奏楽におけるクラリネットの人数編成と役割
吹奏楽のクラリネットは、弦楽器が存在しないため、オーケストラにおけるバイオリンと同じ役割を果たすことが多くあるので、最低3人は欲しいところです。
クラリネットは人数が多いに越したことはない楽器なので、80人編成で20人いても問題ありません。
編成人数は多ければ多い程、サウンドに厚みと広がりが出てきます。
メロディー、フォローに伴奏、そしてハーモニーも担当する何でも屋さんなんです。
吹奏楽におけるクラリネットのパート
一般的な吹奏楽でのクラリネットパートの編成は、
- 1st(ファースト)
- 2nd(セカンド)
- 3rd(サード)
- Bass Cl(バスクラリネット)
最後のバスクラリネットは、あったりなかったりですが、私が教えてきた学校でも、この編成が平均的です。
それでは各クラリネットパートの役割を紹介していきましょう。
B♭管
1st(ファースト)
メロディーを吹いたり、時には伴奏を担当したり、吹奏楽では様々な事を担当するパートです。
ファーストは使う音域の幅が広く、中でも高音域を担当することが多いパートです。
物怖じせず堂々とクラリネットを吹ける必要があることから、実力のある経験者が担当することが多くあります。
2nd(セカンド)
セカンドパートは内声や伴奏を担当します。
ファーストがメロディーを吹いている場合は、セカンドがハーモニーを担当してることが多くあることから、セカンドはファーストより様々なことを担当するパートです。
ちなみに私は、小学4・5年生の時にセカンドを担当していました。
セカンドパート最大の面白さは、その重要性にあります。
ファーストのメロディーを引き立てたり、和音の心地よさを決める役割が、私にはぴったりでした。
当時はメロディーを吹きたいという欲がなかったからでしょうか。または性格かもしれませんね。
目立ちたがりではないけれど、ハーモニーが楽しくてしょうがない!
そんなあなたにピッタリなパートは、セカンドかもしれません。
3rd(サード)
伴奏を担当することが多いサードの役割。
時にはメロディーを吹くこともありますが、ハーモニーの1番下のパート、根音を担当します。
大きい音がしっかり出せて、低い音を吹くことが楽しい人にはぴったりです。
演奏を支えている感覚が楽しめると、のめり込んでしまうパートです。
特殊管
Bass Cl(バスクラリネット)
大きくて、クラリネットの1オクターブ下の音が出るバスクラリネット。
基本的に伴奏を担当し、クラリネットパートを支える役割があります。
バリトンサックスと一緒に、テューバの音の芯の役割を担うことで、テューバの音がしっかりと聞こえるようになるのです。
B♭管にはない、低いミの♭が鳴ります。
さらに長いLow Cと呼ばれる楽器になると、ドまで鳴らすことができる楽器です。
E♭Cl(エスクラリネット)
吹奏楽の中で使うクラリネットの中で、1番高い音が出るのはエスクラリネット。
フルートにおけるピッコロの立場にあるこの楽器は、楽器が短い分、音程を取るのがとても難しいです。
キンキンした音になりやすく、より息のスピードが必要になり、経験者でも扱うのは難しい場合があるので、注意が必要です。
学校によっては楽器がないことも多いため、オプションの要素が強く、割愛できるパートとされているので、吹かれる機会はあまり多くありませんが、エスクラリネットが入ると、演奏がとても華やかになります。
吹く箇所が少なかったりすることから、人数に余裕がない場合、演奏の途中でB♭管から持ち変えることもあります。この時担当するのは、基本的にはファーストの人となります。
Alto Cl(アルトクラリネット)
オプション中のオプションとして扱われる、アルトクラリネット。
オプションと書かれていることが多く、なかなか出会う機会も少ない楽器ですが、独特な音が鳴るので、あると演奏に深みが出ます。
ちなみに音大の授業では、特殊管の勉強として経験できる人もいます。
右手の位置が極端に低くく、手を痛める事もあるので、無理せず演奏する事を心がけてください。
Contra Alto Cl(コントラアルトクラリネット)
他の楽器と重なることが多くなり、また楽器が揃っていない場合が多いため、編成に含まれている曲が多くはないコントラアルトクラリネット。
クラリネットオーケストラや、自衛隊などの音楽隊などでは、用いられることがあります。
Contra Bass Cl(コントラバスクラリネット)
とにかく大きく、木だと重く、さらに吹いてから音が出るまでに時間がかかるコントラバスクラリネット。
コントラバスクラリネットは全部が金属でできている楽器もあり、クラリネット界隈の人たちからは「水道管」と言われることもしばしば。
超低音を担当していて、バスクラリネットより1オクターブ下のふとーい音が鳴ります。
以上がクラリネットパートで使われるクラリネットの種類です。
学校の吹奏楽部でよく見られる傾向
小学校の吹奏楽部では、6年生を1stにする傾向がよくあります。
6年生になると、当然経験も豊富で、安定した演奏ができる子も多いので、上手な子は1stに配属されるのが定石とされています。
しかし、パートのバランスを考えると、吹ける経験者はバラしたほうが賢明です。
セカンド、サードの役割もとても重要で、ファーストにしっかり吹けるプレイヤー達を集めてしまった場合、全体的なバランスが崩れます。
理想的なパートとしては、トッププレイヤーでパート割りをして、残りのプレイヤーでパート割りをし、全体のまとまりを重要視することが大切です。
自分の役割を知ろう
たくさん種類があるクラリネット、各パートに合わせた楽器あることがわかりましたね。
触れる機会が少ない楽器もあるので、体験できる機会があったら是非挑戦してみましょう。
いろいろなパートを担当することで、今まで見えなかった役割も見えるようになります。
自分の役割は何か、それぞれのパートがしっかり認識する事で、演奏の幅は広がっていきます。
楽しい吹奏楽、もっともっと楽しんでくださいね。