クラリネットの宿命・♯だらけの曲を譜読みする時のコツ
先週は、予定があってレッスンを休んだ生徒。
忙しすぎて、この2週間全く楽器を触れなかったらしく、とても不安そうな顔をしていました。
プラスのイメージを持って楽器を吹こう
そういう時に限って「これ!」というリードが見つからず、アワアワ…
きちんとリードを選んであって、順位もつけていると言っていたので、いつも通り吹けていれば、きっとちゃんと音が出たと思うのですが、動揺していて「しばらく吹いていなかったからかも…」という考え方になってしまっていた可能性があります。
精神状態は、簡単に演奏に反映されます。
自信がない時こそ、プラスのイメージを持って吹けるといいですね。
スピード感のある息を入れよう
どうにかリードも見つかったので、ロングトーン。
全体的には悪くないのですが、彼女はレジスターキーを使う音域になると、息が弱くなる傾向が以前から見られます。
逆のパターンはしばしば目にしますが、少しめずらしいくせだと思います。
彼女の場合は、音程が極端に下がったりするわけではないのですが、息のスピードが落ちると、音の密度が下がるので、輪郭がぼやけた音になりやすくなります。
ロングトーンでは気にならなくても、そのような吹き方だと、曲を吹いた時に音の粒が見えにくくなり、合奏であれば他の人の演奏に埋もれてしまいます。
下から上まで一定のスピードの息を入れられるように、ロングトーンの時に特に意識して、良い吹き方を身につけましょう。
遠くを狙うようにすると、息のスピードは上がりやすいですよ。
2ヶ月続けて新曲やります
さて今月から、アンサンブルでまた新曲をやります。
2曲の予定ですが、一度に始めるのは負担が大きそうなので、今月まず1曲、来月もう1曲と、時間差でスタートさせようと考えています。
今月の曲は、彼女が以前ソロ(ピアノ伴奏)で吹き、アンサンブルでもやっていた曲。
そのままメロディをやってもらうので、譜読みの必要はなしです。
ですので、今日は来月分の楽譜を一足先に渡し、レッスンの中で譜読みをしてみることにしました。
♯7こって!
通常、譜読みは自力でやってもらうようにしています。
読んでいるそばから、私があれやこれやと口を出すべきではないと考えていることと、譜読みは人それぞれやりやすい方法があるので、レッスン内で強制的にやってもらうものではないと思っているからです。
しかし、来月演奏予定の曲は、♯7コ!
実はこれ、♭5コと同じ調なので、私はそちらでやるつもりだったのですが、アンサンブル用に楽譜を編曲してくれた友達が「臨時記号との兼ね合いで、♭の調で書きたくなかった」と、♯がたくさんついた楽譜をくれたのです。
確かに、今やっているビートルズ数曲も、クラリネット吹きの宿命で♯がいっぱいですし、♯系に揃っていた方が楽は楽です。
ある曲では「ファ♯」だったのが、別の曲では「ソ♭」になってしまうのでは、無駄に難易度が上がってしまいますからね。
それにしても、全部の音に♯がついているって…と、困り果てていたので、今回は一緒に譜読みをすることにしました。
違う音を絶対に出さない
できることならば、初見の時点から、ゆっくりメトロノームをかけ、音とリズムを同時に読んでいくと、初見力・読譜力を上げていけるのですが、今回のように調号が多い時などは、音や指を1つずつ確認していった方がいいでしょう。
リズムは気にせず、1つ1つの音をしっかり伸ばしていきます。
その時に注意することは、楽譜をしっかり見て、きちんと指を準備してから正しい音を出す、という点です。
慌ててとりあえず音を出し、「ん?あれ?違うか…」というのを繰り返しては、全く意味がありません。
余分な音を出さず、正しい指で吹き、確実に音と指を一致させていきます。
心配であれば、同じ音を吹き直しても構いません。
そうすれば、次にその音が出てきた時に、時間をかけなくても自信を持って吹けるはずです。
読みやすいように読み替えない
また、なるべく「ミ♯」を「ファ」、「シ♯」を「ド」と、読み替えたり、考えないようにして下さい。
譜読みを始めたばかりの時は、指を考える上で少しは仕方ないですが、例えば「シ♯・ド♯・レ♯・ミ♯・ファ♯」と音が並んでいた時に、「ド・ド♯・レ♯・ファ・ファ♯」と読んでしまっては、とても不自然ですね。
曲や調の性格上、「ミ♯」は「ファ」ではなく、「シ♯」も「ド」ではありません。
あまり出てこない音に慣れていけるように、変換することを当たり前にしてしまわないようにしましょう。
段階を追って確実な譜読みを
指がうまく動かなかったり、音を読み間違えてしまうことが多いのに、無理にリズムをつけようとしても、良い練習にはなりません。
自分なりの譜読み方法を固定することも大事ですが、そこにこだわりすぎると、無駄な時間を費やすことになりかねないので、臨機応変に、その時に必要なやり方を選択できるようにしていきましょう。