あなたはどのタイプ?初見力を高める基礎練習方法
いよいよ高校生になる生徒は、レッスンに来始める前は、楽譜にカタカナで「ドレミ」を書いていたので、「まずそれをやめようか」と最初に話したところ、それ以来は一切書かずに頑張っています。
この「ドレミ」を楽譜に書く手段は、とてもわかりやすく演奏しやすい場合もありますが、初見で楽譜を読む力が育ちません。なぜなら、わかりずらい音符ではなく、自分で書いた「わかりやすい方のドレミ」を読んでしまうからです。
実はこの生徒「書いていないから全然読めない!」なんてことは、全くありません。
「書かないと、なんだか不安…」という状態から、なかなか抜け出せなかっただけなんです。
小さなことですが、一つずつ自身をつけることが、初見力を上げていくことに繋がります。
初見が苦手な人は、譜読みだけではなく、自信が持てない要素を持っています。
あなたはどのタイプ?
初見が苦手な人のパターンは、大きく4つに分類されます。
- 数(拍)が数えられなくなってしまう
- 音がとっさに読めない
- 音はわかるけれど、正しい指にぱっと行けない
- リズムがよくわからない
もちろん、複合的な場合もありますが、いずれかに当てはまるはずです。
「初見苦手!」とひとくくりにせず、自分のタイプをしっかり把握して、少しずつ克服していきましょう。
では、1つ1つの練習方法・対処方法を見ていきましょう。
タイプ別対処法
数(拍)が数えられなくなってしまう
ロングトーンをしていて、音によって長くなったり短くなったり、なんとなく感覚で伸ばしていたりすると、このパターンにあっさり陥ります。
ロングトーンという、音も変わらず、リズムもない演奏で、きちんと数えていないのであれば、当然ですね。
克服するには、やはりまずこのロングトーンから。
「1・2・3・4」「1・2・3・4」と、しっかり頭の中で数えながら、伸ばす練習をします。
慣れてきたら、二分音符・四分音符・八分音符など、タンギングをしながらでも、数え続けられるようにしていきましょう。
音がとっさに読めない
これは、楽譜に慣れていないのが原因です。
時間があったら、なんでも構いませんので、楽譜に触れましょう。
そして声に出して、書いてある音を読みます。
数えても、時間がかかってもいいので、とにかく読むことが大切です。
一通りできたら、また最初から読みましょう。
繰り返し読むことで、少なくともその楽譜にある音が、段々とインプットされていきます。
ぱっと読める音を少しずつ増やすことが大切です。
また、ロングトーンのやり方も重要になってきます。
ロングトーンをする時には、必ず楽譜を見るようにして下さい。
手書きで半音階を書いてもいいですし、運指表の楽譜でも大丈夫です。
この練習をすると、次の『音はわかるけれど、正しい指にぱっと行けない』にも役立ちます。
音はわかるけれど、正しい指にぱっと行けない
私達管楽器吹きは、楽譜を見て、例えば「あ、ドだな」と思うと同時に、その音の指を押さえねばなりません。
「あ、ドだな。ということは、この高さのドの指は…」とやっている暇はないわけです。
『音がとっさに読めない』でも書いたように、ロングトーン時には必ず楽譜を見て、「そこに書かれている音が何の音か」と「この音はこの指」が、同時進行でできるようにしていきましょう。
リズムがわからない
リズムというのは、実はそんなにパターンがありません。
そして、苦手なリズムパターンというのも、大体固定されていると思います。
いつも引っかかってしまうリズムは、それだけ取り出して、手を叩きながら(拍子を取りながら)何度も歌いましょう。
楽譜に書かれているリズムパターンと、実際に奏されるリズムが一致しておらず、体に馴染んでいないことが原因ですので、繰り返すことで、体感としてのリズムの認識と、苦手意識の払拭をすることができます。
効果が見えやすい初見練習
このように見ていくと、やはり基礎練習、特にロングトーンが大切なことが、再確認できます。
「この練習は、○○につながっている練習だ」ということを具体的に考えながら基礎練習に臨むことで、先々の演奏が大きく変わっていきます。
新年度です。
心機一転、基礎練習と向き合って、初見がスラスラできる力を手に入れましょう。
やればやった分、身につきますよ。