細やかな練習で求められた吹き方を正しく理解しよう
吹奏楽団でクラリネットを吹いている生徒さん。
今日も「どうしてもうまく吹けないところがある」と、レッスンにいらっしゃいました。
アクセントなのにデクレッシェンド!?
音は、下に行けば小さく、上に行くと大きく聞こえる特性があります。
低い音の方が、高い音に比べて耳に届きにくいからです。
にもかかわらず、
この形。
上行・アクセント・デクレッシェンド。
相反するものが、同時に求められています。
しかも今回吹くのは、上のパート。
「うまく吹けない」とおっしゃる気持ちも、とてもよくわかります。
しかし、指示通り吹かないわけにはいきません。
今日は、どう練習したらいいのかをお伝えしました。
音量は気にせず練習しよう
まず大切なことは、「アクセントの吹き方を徹底すること」です。
吹きやすい音量とテンポで構いません。
ただ、シンコペーションかつアクセントなので、必ずメトロノームはかけましょう。
その音量でしっかり吹けたら、次に進みます。
小さい音量でのアクセント練習
今度は、ピアノもしくはメゾピアノで、同じ練習をします。
この時に、「音量が下がっただけで、音の粒の形は同じ」にすることが、とても重要です。
音を小さくするには、吹き込む息の量を減らすわけですが、息のスピードを落として量を調節してしまうと、音の密度が下がり、粒の形も変わります。
息のスピードは維持して、細く速い息を入れるようにしましょう。
一音ずつ音量を下げてみよう
ここまでできたら、ゴールまであとちょっと。
次にやるのは、「音の形はそのままに、一音ずつ音量を下げていく」練習です。
このフレーズの場合、スタートがフォルテッシモなので、「フォルテッシモ→フォルテ→メゾフォルテ→メゾピアノ」と、音量を下げるといいですね。
ここでは、自分の中でしっかり理解して音量を調節できるように、メトロノームをかなりゆっくりにセットしましょう。
音量を下げていくイメージは、テレビやオーディオの音量を下げるのと同じ。
テレビの音量を下げていったからといって、番組の中で話している人が滑舌悪くなったり、ぼそぼそ話すようになるわけではないですよね?
音の粒の形を変えないことを、一番大事にして下さい。
うまくできたら、少しずつテンポを上げていきましょう。
慌てず、丁寧にテンポアップしていくことが、合奏での成果発揮につながります。
曲本来のテンポまで上げられたら、しっかり身につくまで何度も吹いて、きちんと自分のものにしておきましょう。
きちんと理解して吹こう
今回のような音量変化や、複雑なアーティキュレーションは、頭の中で理解し、整理してから吹くことが大切です。
勢いよく何度も繰り返しても、「たまたまうまくいった」「なんだかちゃんとできない」を積み重ねるだけ。
一見遠回りに見える練習が、実は大きく実を結びます。
確実に吹けるようになるために、細やかな部分練習を取り入れるようにしましょう。