クラリネット演奏で楽譜にドレミを書くデメリットとは

2019年07月26日 4,442PV
ドレミがびっしり書き込まれた楽譜

小さい頃にピアノなどに触れる機会がなく、どうも楽譜が読めない、または読むのが苦手、という方は多いと思います。

東京クラリネット教室にもそういう生徒さんはたくさんいらっしゃいますし、部活へ教えに行くと、「ドレミを書かないと楽譜は読めない」という子が、かなりの高確率でいます。

楽譜にドレミを書くことは、「絶対に駄目!」とは言いませんが、デメリットも多くあります。

なぜドレミを振らない方がいいのかを、今回はきちんと知りましょう。

楽譜がずっと読めるようにならない

楽譜を読むのに自信がない場合、音符の下や上にドレミを書いている方は多いと思います。

しかしこれは、あまりいいことではありません。

もちろん、ところどころ書く、くらいならいいのですが、びっしり書いていませんか?

このやり方の一番良くない点は、続けているとずっと楽譜が読めるようにならないことです。

せっかくクラリネットが上達してきても、それでは困りますね。

なぜ読めるようにならないのかと言うと、結局はカタカナを読んでしまい、音符は見ていないからなのです。

見ていなければ、当然読めるようになっていくはずもなく、「カタカナでドレミを書かないと無理!」という状態から、抜け出せない、ということになります。

間違って書いたことに気づきにくい

また、間違って書いてしまったものに、ずっと気づけないというデメリットもあります。

音符の読み間違い・吹き間違いというのは、普通に楽譜を読んでいてもあることですが、例えば「ソ」なのに「ファ」と書いてしまうと、そのカタカナを見ている限り、絶対に間違いに気づけません。

部活のクラリネットパートの指導に行って、「何度やってもなんか変な音が聞こえるなー」と思った時に、この書き間違いが原因なことは、ほぼ100%です。

そして「音が間違ってるよ」と指摘すると「ちゃんと(カタカナで)書いてある通りに吹きました!」と、みんな答えるのですが、そのカタカナが間違っているのかも、という考えには、なかなか至らないのが現状です。

私のような第三者が指摘できる環境であればいいのですが、そうでない方も多いと思います。

そうなると、カタカナでドレミを振ることは、あまりお勧めできないのです。

音の名前以外の情報が得られない

そしてクラリネットは、音域が広い楽器です。

主なクラリネットの最低音は「ミ」なので、「ミ」を例にすると、下から上まで4つの「ミ」を鳴らすことができます。

クラリネットが出せる4つのミの音

こちらの4つの音ですが、音符を見れば、どこの高さの「ミ」なのかは、当然ながら一目瞭然です。

しかし、カタカナで「ミ」と書かれた楽譜。

その「ミ」の文字だけを見て、上の譜例のどの高さの音かは、絶対にわかりませんね。

曲に慣れてくれば、指の動きや音の流れで掴めてくるかもしれませんが、文字から得られるのは音の名前だけです。

それでは、音楽を奏でることはできません。

音符には、音の名前・高さ・リズム・アーティキュレーションなど、たくさんの情報が詰まっています。

それをカタカナで奪ってしまっては、楽譜通りに演奏できるようになるまで、遠回りをすることになってしまいます。

書く手間がかかる

楽譜にドレミを書き込む小学生

全ての音符にカタカナを振るのは、時間がかかります。

クラリネットは特に、細かい音を担当することも多いので、書かなければいけない音が必然的に多くなりがちです。

楽譜を配られて、まず音を書かないと譜読みに入れない人と、ぱっと吹き始められる人では、当然実際に楽器を吹ける時間に差が出てきます。

「吹ける環境にいる時には、極力音を出す」ことが、曲を吹けるようになるためには最も大切なことですので、楽譜に音を書く時間というのは、実はとてももったいない時間、ということになります。

初見ができない

当たり前と言えば、とても当たり前ですが、楽譜にドレミを書かないとクラリネットを吹けない、と思っている間は、初見ができるようにはなりません。

配られたばかりの楽譜には、ドレミは書いてないので、当然ですね。

しかし意外と、初見で曲を吹かねばならないシチュエーションというのは、そこかしこにあります。

部活で、楽団で、ちょっと友達とアンサンブル…などなど。

ドレミを書かないと吹けない、という状況を作ってしまっていると、その初見演奏の機会のたびに「音を振ってない楽譜を吹くなんて無理!」と、実はできるかもしれない初見から、逃げ腰になってしまいます。

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少しずつ読めるようにしていこう

楽譜にカタカナでドレミを書く、ということが、なぜあまり良くないことなのか、具体的におわかりいただけましたか?

「音を間違えるのが怖い」「読めなくて、吹けないと困る」という気持ちはわかりますが、ドレミを自力で書いているのであれば、楽譜は読めているわけです。

書く音を減らしてもクラリネットが吹けるように、少しずつ訓練していきましょう。

必ずできるようになりますよ。

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