第1回音高・音大受験の実技模試
2018年1月14日(日)、東京クラリネット教室「第1回音大受験の実技模擬試験」が行われました。
この実技模試では、人前で演奏する機会がない生徒や、演奏経験が少ない生徒が、実技試験の本番さながらの環境で、試験官を目の前に自分の演奏を披露する練習ができます。
受験生達は、入試当日と同様に、知らない場所、知らない人達の前で演奏することとなります。
試験官としてお招きしたのは、音大を卒業し、現役プロとして活躍しているマリンバ奏者とヴァイオリン奏者。
参加者の受験生達は、東京クラリネット教室関係者2名を含めた計4名を目の前に、自分のパフォーマンスを披露することになります。
知らない場所で音を出す怖さ
実際の入試では、自分がどんな場所で演奏するのか、その瞬間までわからないことがほとんどです。
- 広さは?
- 響きは?
- 試験官は何人?
- 一緒に部屋に入る受験生は何人?
未知の世界にポンと入れられ、「はい、演奏どうぞ」という環境で、ベストな演奏をしなければなりません。
今回の実技模試でも、受験当日に近づけるため、受験生には会場の場所のみ伝えて、中の様子はわからないまま、2人で同じ控え室に入ってもらいます。
控え室での音出しは約10分、いよいよ本番です。
試験会場に左右されない演奏をするために
控え室から本番会場へ移動した2人は、初めて部屋の様子を知ることになります。
今回の部屋は、約22帖ありますが、演奏する場所に立つと、「試験官、結構近いな…」と感じる距離に立ち位置をセッティングしています。
近くで自分の演奏を見られている、しかも、「どんな演奏をするのか」「この大学に入るにふさわしいか」という厳しい目にさらされていると思うと、入試で本来の力を出し切るというのは、とても難しいことです。
「どう気持ちをコントロールするか」のイメージトレーニングをしておくことも大事ですが、イメージトレーニングをどれだけ重ねても、実際の経験に勝るものはありません。
そのためには、最適な空間で、実際に緊張を経験しておくというのが、とても大事なことなのです。
私の経験では、入試の実技試験は広い部屋で行われることが多いです。
その場合、試験官は遠いので、少し落ち着いて演奏できるかもしれませんが、音の返りが普段と違い、焦ることがあるかもしれません。
自分の音が、小さく感じてしまうのです。
耳で聴くのではなく、積み重ねてきた練習と同じように吹き込んでいる、という感覚を大切にしましょう。
失敗して気づき改善できる問題点
今回の実技模試では、1人あたり2回演奏する時間が割り当てられています。
全員が演奏し終わってから一度退室、控室へ戻り一度目の反省点を踏まえながら音出しを行い、2回目の本番へと挑みます。
入試当日の実技試験で失敗し、改善点に気づいたとしても、2回目はありません。
たくさん緊張して、たくさん間違えて、知らなかった自分の問題点に気づき、入試当日までに改善するチャンスを得ることができるのです。
試験官は何を評価するの?
自分の立てる物音しかしない、静寂に包まれた空間で、受験生は名前と演奏曲目を言ってから演奏し始めます。
名前を言った時点で、試験官のペンが動きます。
まだ演奏もしていないのに。
このことに、受験生達はしっかり気づけたようです。
入室から全てが評価対象になっている
もちろん、「名前を言う声が小さいから駄目」なんてことはありません。
では何がいけないのか。
それは「自信がない」という印象を与えてしまった、ということです。
堂々と立って、堂々と名前を言う。
小さなことですが、この小さな事を当たり前にこなせる生徒と、そうでない生徒では、徐々に差が出てきます。
実技試験が終わる頃には、ちりは積もり、大きな差になってしまうかも知れません。
今回は2回目の演奏、そして入試当日の計3回チャンスがあります。
もし、これが入試当日だったら「自信がない人」と評価されたままとなります。
実技模試を経験してわかること
今回参加した2人とも、知らない空間・知らない人の前で、良く演奏できたと思います。
しかし、終わった直後の感想は、
- 真っ白になって覚えていない
- 意識はあるんだけど、思っていることとやっていることが違っていた
とのこと。
また、暗譜で声楽の試験曲を歌った子は、「どこを見ていいか困った」との感想を教えてくれました。
これらが、イメトレでは気づけず改善できない問題点です。
約1ヶ月後の入試に向けて、素晴らしい経験を積んでくれました。
センター試験会場から直接向かってくれた生徒もいて、体力的にも精神的にも大変だったかと思いますが、実際の入試でも短い期間でいろいろな科目を受験するわけですので、良い経験になったのではないかと思います。
試験官お二人からいただいた講評も、自分では気づけない客観的な部分が多く書かれた、貴重なものでした。
次回の実技模試でさらなる経験を
今回参加した受験生の希望もあり、入試直前の2月16日(金)に第2回音大受験の実技模試試験を急遽開催することとなりました。
次回は、さらに入試に近い午前の時間帯(11時~)に行います。
どの部屋を使うかは、実技試験当日と同様、今は内緒です。
入試で、吹き直しはできません。
せっかく頑張って積み重ねてきた練習を、全て発揮できるように、第2回実技模試でより確実なものにしましょう。
第2回音大受験の実技模擬試験