音大受験当日に向けて準備しておくこと
年末になり、いよいよ音高・音大受験の一般入試が近づいてきました。
受験生の方々は、日々演奏技術向上のために頑張っていることと思います。
受験日当日、「持てる力以上のものが発揮できた!」という「運任せ要素」はもちろんなく、受験に向けて準備した期間に、一生懸命練習したものが全てです。
しかし、演奏以外の要素によって、その「全て」を発揮できなくなる可能性は否めません。
受験に向かっての準備や、受験当日にどんなことが起こり得るのか、想定をし、きちんと対策を練っているかどうかが、とても大切ですので、余分な不安を抱えないためにも、しっかり準備していきましょう。
ステージでの本番に挑む感覚で
受験における実技試験は、例えば部活の演奏会や、個人での発表会などのステージと同じですので、それらの本番に臨む時と同じように、入試に向けて少しずつ準備していくことが大切です。
クラリネットでの演奏に、良いリードは不可欠ですので、もちろんリード選びには余念がないことと思いますが、実技での受験日から逆算して数週間前から、遅くとも1週間前までには、入試で使えそうなリードを、用意しておきましょう。
ポイントは、複数枚用意すること。
植物でできているリードは、当日の気温や湿度によって吹き心地が左右されますし、また、急に状態が変わったり、うっかり欠けさせてしまったり…と、1枚しか本番用リードを持っていないことのリスクは大いにあります。
専門的にクラリネットを勉強していこう、という方は、普段から10箱くらいの単位でリードを購入していると思います。
あまり早くから絞り込んでしまうのも良くありませんが、良い状態のものを少なくとも3~5枚、リードケースに入れておきましょう。
ただし、本番間近のリード選びは、当日状態が変わる可能性が高いです。
先述の通り、数週間前~1週間前までには完了させ、本番を想定した演奏時に使って、馴染ませておきましょう。
体調をしっかり整えて
本番に「万全の体調で臨む」というのは、良い演奏をするのに当然気をつけておくべきことなのですが、意外とできていない方を見かけます。
特に、入試の時期には、風邪やインフルエンザなどが流行り、受験生にとっては油断ならない日々ですが、「とにかく練習しなきゃ!」と、無理をしがちです。
プロの音楽家は、長い音楽活動の中で、自身に合った体調のコントロール方法を身につけています。
さすがプロですね。
まず、普段から整えられるのは、睡眠や食事、生活リズムでしょう。
入試は、大抵午前中に集合をかけられることが多いので、徐々に朝型の生活にシフトしたり、睡眠や食事時間を削ってまで、音楽に明け暮れるような生活から脱することが必要です。
もし、少しでも不調を感じたら、無理は禁物。
特に、喉に違和感があったり、鼻の調子が悪い時に管楽器を吹くことは、調子を崩すことにも繋がります。
また、冬場の入試で考えられるのは、寒い場所で待たされること。
基本的に、コートなどを羽織った状態で待ったりすることはできませんので、ではどうやって手や体を冷やさないか、喉の乾燥対策はどうすべきか、などを考えておきましょう。
プロは、楽器のコンディションに心を配るのと共に、自分の体調も万全の状態にして、本番を迎える準備をごく自然にします。
今後、音楽のプロを志すのであれば(プロというのは、何も演奏家に限りません)、今のうちからしっかり身につけていきましょう。
緊張と向き合うコツ
自分が緊張した時に、自身にどんな変化が起こるか、きちんと把握していますか?
手や足などの震え、呼吸の浅さ、頭が真っ白になる、など、緊張した時にどうなってしまうのかをわからぬまま本番を迎え、描いていた演奏をできずに落ち込んでいる方を、入試や実技模試、発表会など、様々な場でたくさん見てきました。
緊張するシチュエーションに置かれた時、自分が陥る状況が見えていることは、とても重要です。
緊張することは避けられなくても、対策を練っておければ、平常心での演奏に少しでも近づけることができるからです。
そのための1つとして、受験までの間に、1回でも多く緊張と向き合う機会を持ちましょう。
できれば、なるべく知らない人の前・知らない場所での演奏経験を積むことが、受験本番の状況にも近いので、お勧めです。
この経験をしているかしていないかは、いざ実技試験に臨んだ時に、大きな差を生みます。
東京クラリネット教室「音高・音大受験のための実技模擬試験」に参加された方の音高・音大合格率が100%であることは、その差を如実に表しています。
緊張のコントロールは、実践でのみ身につきます。
積極的に、そのチャンスを掴んでいきましょう。
実技試験で実力を発揮するために
音高や音大の受験は、音楽的な総合力が判断されますが、各楽器専攻で受ける場合、試験当日の実技のウエイトがかなり大きくなるのは事実です。
しかし、試験を受けるための準備が不十分だったり、実技で良い演奏をすることの妨げになるものを除外できないと、本来の力を発揮することが難しくなります。
ひたすら練習に打ち込むだけではなく、付随することにもしっかり目を向けて、実技模試などを活用し、良い結果を手に入れましょう。