クラリネットで音楽的な演奏をするためのコツ
いよいよ、第5回発表会まで、残り1ヶ月となりました。
今回も、ソロやアンサンブルで、多くの生徒さんにご参加いただきます。
出演予定の生徒さん達は、どう音楽的に吹くかを、日々の練習やレッスンで模索する日々です。
では「音楽的に吹く」ってなんでしょう?
ちょっとしたコツを押さえると、演奏は劇的に変わっていきますので、押さえるべきポイントを、しっかり知っておきましょう。
「音楽的な演奏」とは
音楽やクラリネット演奏自体が、形のないものですので、感じ方は人それぞれではありますが、「聴いていて心地良い」「何かが伝わってくる演奏」というものがあります。
あっさりした演奏との大きな違いは、
- 音楽をかたまりで捉えているか
- 曲の中の山を理解しているか
- イメージを持って演奏しているか
という点だと思います。
では、一つずつ具体的に考えていきましょう。
音楽をかたまりで捉えているか
私はよく、音楽の流れを言葉や文章に例えてお話をします。
文字が読めるようになったばかりの時は、「こ」「ん」「に」「ち」「は」と、1つずつの文字を、繋がりなく読んでいたかと思います。
徐々に文字に慣れるにつれ、文章の中でも自然に単語を捉え、いつのまにか「こんにちは」が1つの単語であると意識せずとも、その単語に意味を持たせて読むことができていきます。
クラリネット演奏時も、同じように、ただの音の羅列にせず、音の流れ・フレーズを意識し、正確に捉えることで、その音の並びに意味が出てきます。
曲の中の山を理解しているか
曲の中には、「山」があります。
これは決して1か所だけではなく、2回3回と出てくることもありますし、各フレーズごとに小さい山があることもあります。
また、山と言うからには、そこに向かう道があります。
フレーズごとに、音が徐々に上がっていったり、使われている音域が広がっていったり、頂上に向けての準備が、着々となされているはずです。
ただし、「山」が常に音域的にトップとは限りません。
「下に向かっている山」というのは、言葉として聞くと矛盾がありますが、音楽ではあり得ることです。
一番高い音ではなく、その前後に音楽的頂上があることもあります。
それを正しく理解し、どれくらいの盛り上がりなのか、どこがより高い山なのかを考えて演奏することで、音楽的なまとまりやメリハリが表現できるようになります。
イメージを持って演奏しているか
色でも明るさでも、はたまた情景でもいいので、自分がその曲から感じたイメージを、しっかり頭の中に描きながら演奏しましょう。
それが、作曲家の意図と異なっていても、気にしなくて大丈夫です。
自分が感じたこと、自分の表現したいことを持っている演奏というのは、一気に深みが出ます。
思いを伝える演奏を
そして何より、「誰かに何かを伝えたい」という思いを持つことが、音楽的な演奏には大切です。
「こう吹きたいんだ!」「私はこの曲に対して、こんな風に思っている」ということを、恥ずかしがらずに、表現していきましょう。
私は常に「自分がその曲を演奏する意味」というのを考えながら、クラリネットを吹いてきました。
自分にしかできない演奏・自分だからこそできる演奏を目指して、また、それを聴いて下さる方に届けるべく、曲と向き合っていきましょう。