音大入試実技試験での振る舞い方
音高・音大入試の専攻実技試験。
想像しただけで、緊張してきますね。
複数人で入室することが多い専攻の試験ですが、そこでの立ち居振る舞いは、自分自身が最高のパフォーマンスをするためにも、試験官に良い印象を与えるという意味でも、とても大切です。
その時になってみないとわからないことも多いのですが、できる限りのイメージトレーニングをしておきましょう。
試験会場入室前
控え室から移動して試験会場に入る前に、一緒に入室する他の受験生と、試験会場前で待ち時間があるはずです。
その後良い演奏をするために、呼吸を深く、心を落ち着けておきましょう。
他の受験生と話をすることで気が紛れるのならば、それも良いですし(ただし、相手が望んでいない可能性もあるので要注意)、積み重ねてきた練習を前向きに振り返ったり、瞑想したり、やり方は自由です。
ちなみに、リードの乾燥が気になって、慌ててつけ直したりするのは、ご法度です。
控え室でやっておきましょう。
試験会場入室時
周囲が誰も言っていなかったとしても、なるべくはきはきと「失礼します」と言いながら入室しましょう。
大きな声で叫ぶ必要はありませんが、「この受験生は堂々としているな」という印象が与えられれば、演奏に期待を持ってもらうことができます。
そして、声を出すことで、落ち着ける、という効果もあります。
大きすぎず、でもクリアな声で、「今から試験に挑むぞ」という気合いを入れましょう。
試験会場内(演奏前)
何人かで入室して、自分の演奏が2番目以降だった場合、自身が吹く前に他の受験生の演奏を聴かねばなりません。
他の人の演奏によって、焦ることも、安心することもないようにしましょう。
また、緊張しすぎて、心ここにあらずになってしまうのも良くありません。
集中しながらも、自分の前の受験生の演奏も、しっかり聴く姿勢が大切です。
自分が試験官の立場だったとして、全く他の人の演奏を聴かず、遠い目をしていたり、逆に、下を向いて必死で緊張と闘っている受験生を見た時に、どのように感じますか?
「おぉ、良い演奏をしてくれそうだ」とは思わないはずです。
気持ちを作りながら、冷静に、良いイメージを持ち、自分の順番を待ちましょう。
試験会場内(演奏時)
そしていざ本番ですが、
「受験番号と名前を言う」
「音階のくじを引いて、調を試験官に伝える」
「曲名を言う」
「試験官から何か指示を受け、答える」
など、試験直前に言葉を発する必要が、いくつかあると思います。
早口でボソボソと答えてしまうと、試験官に伝わらないこともそうですが、自分自身を焦らせてしまいます。
はっきりと話すことで、平常心の維持を試みましょう。
そしていざ演奏!
心を込めて、自分が表現したいことを、しっかり試験官に届けます。
暗譜の場合は、顔の向きに注意しましょう。
部屋の広さにもよりますが、自分の数メートル前方(試験官の手前)の床を見るような視線になってしまうと、使う空間のイメージが狭くなり、余裕のない雰囲気が出ます。
かと言って、試験官の顔を見て、目が合ったりすると、かなり緊張してしまうかと思いますので、無理して見なくても大丈夫です。
試験官越しに壁を見るようにすると、顔も正面に向きますし、空間も意識できて、のびのびとした演奏ができるでしょう。
試験会場内(演奏後)
「吹き終わった~…」と、急にゆるんではいけません。
特に、自分のあとに演奏をする受験生がいる場合は、なおさらです。
次に演奏しなければならない時に、直前に演奏した人にそんな態度を取られたら「こっちは今から吹くのに!」と思いますよね。
試験官には、自分勝手で協調性のない人、という印象も与えてしまいますし、少なくとも試験会場内では、入室してからと同じように、ピシッとしていた方がいいでしょう。
試験会場退室時
入室の時と同じく、「失礼しました」「ありがとうございました」など、試験官に対して、お礼を伝えましょう。
音楽の世界は、思っている以上に挨拶に厳しい世界です。
礼儀がしっかりしていない人には、将来的に仕事も回ってきません。
「入試で挨拶できないから駄目」というわけではなく、どんな状況でも、当然のように挨拶ができる自分を作り上げておくことが大事なのです。
そして外に出たら、「無事に終わったー!」と雄叫びを上げ、ほっと一息…といきたいところですが、まだ実技試験を控えている人がいるかもしれませんので、周囲の状況を見て、気遣いのできる自分でいましょう。
持てる力全てを入試で出すために
筆記試験と違い、実技試験というのは人とのやりとりもありますし、自分を表現する場なので、緊張により、素が出やすくなります。
「この人の演奏をぜひ聴いてみたい」と試験官に思ってもらえるように、練習だけに明け暮れることなく、礼儀正しく、スマートに立ち振る舞えるようにしておきましょう。
イメトレだけでなく、できれば実技模試のような実践の場に、入試までに複数回挑めると、自信も手に入りますよ。
「練習を頑張る」のその先、頑張った成果を、実技試験できちんと発揮することに照準を合わせて、入試に向けて頑張っていきましょう。